大阪社保協通信 第1208号 2019.5.14
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2017年度全国の市町村国保会計は4844億の大黒字、さらに基金残高4041億円!!大阪府全体でも黒字104億円・基金残高110億円に!!
厚生労働省は政府統計のポータルサイト「e-stat」に、2月に速報を、4月に確定した全国国民健康保険報告年報をアップします。現時点での最新版は2017年度データということとなります。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450396&tstat=000001128395&result_page=1&second=1
2008年度よりそのデータをもとに独自に国保会計決算データを作成してきており、これまでのデータはすでに大阪社保協ホームページ「各種データ」のページにアップしています。
★2017年度国保決算データおよび決算・基金残高推移データを作成
今回作成したのは、以下の会計データ(エクセルは5つのシート)です。大阪社保協ホームページ→各種データ→2017→国保のページにアップしていますのでご覧ください。
https://www.osaka-syahokyo.com/data.html
@
2005-2017年度国民健康保険財政状況(全国ベース)
A
2017年度全国市町村国保会計決算
B
2017年度都道府県単位での国保会計決算
C
2008-2017年度都道府県単位国保会計決算推移
D
2008-2017年度都道府県単位国保基金残高推移
上記BCDはいずれもAの市町村データを都道府県単位で積算したものであり、都道府県会計ではないことにご注意ください。
★これらデータで何がわかるのか
このデータで何がわかるのか、以下解説します。なお、データは国がアップしたものをそのまま使っていますので、数字についての質問はお答えしかねます。なお、わかりやすくするためにすべて被保険者数一人当たりの金額で見れるようになっています。国の資料はそのようにはなっていません。
□2005年−2017年度国保財政状況全国ベース
上の表が全国での国保会計の収入、下が支出です。支出の表の下に収支が入っています。この12年間で、収支が一番厳しかったのが2007年。2008年から全国の国保会計はV字回復をしています。これは2008年度から後期高齢者医療制度が始まり、「前期高齢者交付金(他の医療保険から前期高齢者の数応じて入ってくる交付金)」が、前期高齢者の多い国保に多く入ることとなり、市町村国保会計を救ったのです。構成比をいれていますが、2017年度でみると、収入の23.8%を占めており、国庫支出金21.3%よりも大きくなっています。
収支は2015年度に前年度より減って単年度赤字であったことがわかりますが、2016年度には大きく黒字となり、2017年度は大きく単年度黒字を積み上げ4,844億円となりました。
一方、一般会計法定外繰入は2010年度には約4000億円でしたが、2016年から減少に転じ、2017年度には2540億円となりました。国はこれまで「黒字額を超えるまたは同等の一般会計法定外繰入をしているので、国保会計は実質的には赤字だ」と言ってきましたが、2017年度は黒字4844億円、一般会計法定外繰入2540億円となり、正真正銘の「黒字会計」となったわけです。
なお、この表には基金残高が反映されていません。基金はもちろん黒字会計から繰り入れるので、黒字額と基金額をたしたものがその時点での「本当の黒字額」ということになります。詳細は後述しますが、2017年度の基金残高は4041億円です。
市町村国保会計データを都道府県単位で積算し、被保険者一人当金額を計算したものです。上位5位までをみてみましょう。
都道府県の黒字幅が大きいところは
@
山口県41,960円
A
和歌山県39,414円
B
大分県38,672円
C
宮崎県38,667円
D
愛媛県33,963円
一般会計法定外繰入を多く行っているところは
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沖縄県27,965円
A
佐賀県21,188円
B
東京都23,328円
C
神奈川県16,348円
D
鹿児島県17,598円
基金残高が多いところは
@
宮崎県50,924円
A
宮城県49,348円
B
福井県46,311円
C
徳島県41,319円
D
鳥取県40,193円
あくまで都道府県単位ですが、ざっくりというと、黒字幅が大きく基金が多いところは重なっていて国保は大変良好な会計、つまり保険料を大きく下げることができるはず。一方、一般会計法定外繰入をしているところは国保会計が厳しいということになります。
□2008年−2017年度都道府県単位会計収支推移
この10年間の都道府県ごとの会計収支の推移の傾向を見ることができます。おおむね、全国ベースと同じで、2008年度から会計は好転し、2017年度で赤字会計は沖縄県のみとなっています。
また、2017年度に大きく黒字を増やす、単年度黒字となったところが多いのも特徴的です。これについては、さらに2017年度の何が要因となって黒字幅が大きくなったのかを分析する必要があります。
マクロにみると、全国ベースでは2016年度、2017年度と保険給付費(所謂医療費)が大きく減っていることが見て取れます。
大阪府全体では2008年度に△805億円という全国一の赤字がありましたが、その後順調に赤字を減らし、2017年度にはついに107億円という黒字に転じました。
□2008-2017年度大阪府内市町村国保会計収支推移
上記@−Dのデータは全国向けに作ったものですので大阪府内市町村の国保会計収支の推移のデータは入っていませんので同報下データをみてください。
大阪府内市町村の国保収支は全体で805億円の赤字であったわけですが、その内訳をみるとやはり最も大きい赤字は大阪市の364億円で、大阪全体の赤字の45%、ほぼ半分を占めていました。43市町村中27市町が赤字を抱え、国保会計は大変困難な状況であったことは確かです。
しかし、その後の経過は全国的な流れと同様であり、大阪市を見ると2010年度▲202億円(単年度黒字114億円)→2011年度▲178億円(単年度黒字24億円)→2012年度▲154億円(単年度黒字24億円)→2013年度▲129億円(単年度黒字25億円)→2014年度▲122億円(単年度黒字7億円)→2015年度▲138億円(単年度赤字▲16億円)→2016年度▲74億円(単年度黒字64億円)→2017年度黒字16億円(単年度黒字90億円)となつたのです。
2017年度に赤字なのは、岸和田市▲5億円、吹田市▲12億円、松原市▲23.5億円、箕面市▲7.8億円、柏原市▲2.3億円、門真市▲7.6億円、高石市▲4億円の7自治体のみですが、いずれの自治体も赤字を確実に減らしており、早晩黒字に転嫁することが予想できます。
□2008年−2017年度都道府県単位基金残高収支推移
注目したいのは基金残高の増え方です。2017年度に大きく増えていることがエクセルの右端のデータで分かります。
全国的には846億円・前年比26.%増ですが、前年比割合で大きいのは、
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神奈川県 85.9% 32億円
A
長崎県 84.4% 17億円
B
北海道 61.4% 70億円
C
兵庫県 54.6% 52億円
D
鹿児島県 52.9% 10億円
大阪でも基金が増えてきており、2017年度は前年比39.4%、31.3億円もふえ、110億円にもなっています。
2018年度からの国保都道府県単位化を目前にして、万が一の事業費納付金集不足を懸念し基金を大きく積み上げた市町村が多かったことの反映かと思いますが、この傾向はますます強まることが予想されます。本来であれば次年度繰入を行い、保険料引き下げに使われるべき黒字分が基金積み立てとして使われているという事実を見逃してはなりません。
□黒字で基金を大きく積み上げている市町村はいますぐ国保料が下げられます
以上の概要はあくまで全国ベースと都道府県単位でみたものです。マクロに言うと「国保会計はものすごく良好であり、国保史上最高の黒字となっている」ということです。
しかし、市町村単位でみていくと千差万別で、もっと黒字のところがある一方、こうした中でもなお赤字のところもあります。また信じられないほど多額の基金を積み上げているところが多くあります。
黒字幅が大きく基金も大きく積み上げている市町村はいますぐ保険料引き下げができます。市町村が保険料を下げられるのに下げていないだけです。それは、住民運動がないから、住民が国保の本当の姿(国保会計の真実)を知らないからです。
保険料を決めるのはあくまでも市町村です。国が決めるのでも都道府県が決めるのでもありません。「黒字だから下げる」という当たり前のことができていないのです。
□国保会計から真実がみえる
今月5月末には出納閉鎖となり、国保会計も閉められ、これから決算作業がされ、秋の決算議会で決算報告がされます。
6月の時点で「決算見込み」を出せる市町村もあります。現在大阪社保協で取り組んでいる市町村国保アンケートでは「2017年度決算見通し」を伊藤してくる市町村がいくともあります。
2018年度から市町村国保会計の科目が大きく変わりました。収入では国庫支出金がほとんどなくなり、ほぼすべてのお金が都道府県支出金としてあらわされます。この都道府県支出金にどのような交付金が入っているのかを詳しく見ないと会計がよくわからなくなります。さらに都道府県に国保会計ができますので、その内容も見ていく必要があります。
私が「国保会計」にこだわるのは、「数字はうそをつかない」からです。国保がこんなに黒字なのになぜ国保料が安くならないのか、こんなことは絶対におかしいのです。
「介護保険優先」にだまされていませんか? 65歳以上でも障害福祉サービスは利用できます!介護保険と障害福祉サービス学習会 |
障害福祉サービスは、低所得者は自己負担なしにサービスが利用できますが、65歳になると「介護保険優先」とされ、介護保険サービスに移行され、原則1割の自己負担が強制され、サービスも制限されるという問題が起きています。 しかし、この「介護保険優先」を一律に適用することは違法であり許されません。2018年12月、広島高裁岡山支部は、65歳になった障害者に対し障害福祉サービスを打ち切り、自己負担のある介護保険サービスを強制したことが「違法」とする判決を出しました。 この画期的な判決を学び、各自治体で、65歳になっても障害福祉サービスが自由に利用できるようにするためにはどうすればよいのかを考える学習会です。
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浅田訴訟判決とは・・・・・ 重度障害者である浅田逹雄さんは、障害福祉サービスの重度訪問介護を無料で受けていました。岡山市は、2013年2月、65歳になる浅田さんに障害福祉サービスの継続を認めず、1割の自己負担の介護保険を強制しようとする処分をしました。浅田さんは、この処分を不当として訴えていましたが、2018年3月の岡山地裁判決に続き同年12月広島高裁岡山支部は、岡山市の処分を違法として取消し、月96時間の障害福祉サービスの給付を義務付け、107万円の損害賠償を岡山市に命じました。65歳になっても障害福祉サービスが利用できることを求めた浅田さんの全面勝訴です。
★日時 2019年6月21日(金)午後6時半〜8時半
★会場 大阪府保険医協会М&Dホール
★基調報告 きょうされん大阪支部 雨田信幸事務局長
★原告の浅田達雄さんからの発言 ★当事者のみなさんからの発言
★主催 大阪社会保障推進協議会/障連協/きょうされん大阪支部
★申し込み・問い合わせ先 大阪社保協 TEL06-6354-8662 fax06-6357-0846
メール/osakasha@poppy.ocn.ne.jp
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6.21介護保険と障害者福祉サービス学習会参加申込書
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