大阪社保協通信   1194号 2018.10.22

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大阪府国保にメリットなし!!〜豊中社保協が「国保・介護保険団体請願・要望署名」スタート集会開催。

 1019日、豊中社保協は「国保と介護の充実を求めて〜とよなか署名スタート集会」を開催しました。豊中社保協では当面12月議会にむけて、団体請願と個人要請署名に取り組みます。目標は1万筆とのことです。

★署名のきっかけは829日の豊中市キャラバン

「あの豊中市キャラバンは本当にひどかった。いったいどこを向いているのかと怒りがわきました。宣伝行動も企画し1万人の市民から署名を集めたい」と豊中社保協・瀬籐事務局長は語ります。

 講師の大阪社保協・寺内事務局長からの講演は以下です。

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★大阪府統一国保で何が起きているのか 

□大阪府統一国保の考え方

・統一国保とは事業費納付金計算と保険料率計算の時に医療費水準を一切加味せず、被保険者割と所得割だけを使う。

・標準保険料率を統一保険料率として使う 

・各市町村からの一般会計法定外繰入をさせない。

・保険者努力支援制度の市町村分インセンティブは市町村に交付するが、保険料引下げには使えない。

・条例減免も統一し、その原資は事業費納付金計算の時に含む=保険料で賄う

6年間の激変緩和期間をもうけ、すぐには統一国保にしなくてもよいが、6年後には統一する。

・大阪府国保運営方針は3年ごとに見直す。

・ 「別に定める基準(統一基準)」は以下

別に定める基準(大阪府統一基準)

大阪府国民健康保険運営方針において「別に定める基準」とは、以下に掲げるものをいう。

資料3−1

 

 

1 保険料の減免

 

(1)減免

   市町村保険者(以下「保険者」という。)は、次のいずれかに該当する世帯であって、必要があると認める時は、その申請により、保険料を減額し、又は納付を免除することができる。

一 震災、風水害、火災、その他これらに類する災害により、居住する住宅について著しい損害(@全壊、全焼、大規模半壊、A半壊、半焼、B火災による水損又は床上浸水)を受けたとき。

二 事業又は業務の不振、休廃止、失業等により、所得が著しく減少したとき。ただし、減少後の所得により算定した保険料額が賦課限度額を超えている場合には、減免は行わないこととする。

三 被保険者が刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されたとき。

四 世帯内に、次に掲げる要件のいずれにも該当する被保険者があるとき。

@ 被保険者資格の取得日において、65歳以上である者

A 被保険者資格の取得日の前日において、各被用者保険等の被保険者(当該資格を取得した日において、高齢者の医療の確保に関する法律の規定による被保険者となった者に限る。)の被扶養者であった者

 

(2)減免の対象となる保険料及び減免の割合

区分

一 災害

二 所得減少

三 拘禁

四 旧被扶養者

対象となる
保 険 料

応能分及び

応益分

応能分のみ

応能分及び

応益分

応能分及び

応益分

減免の割合

被害の程度に応じて3区分(全壊等100%、半壊等70%、火災による水損又は床上浸水50%)

前年所得からの減少率に応じて、8区分

(減少率が

30%以上40%未満:30%、

40%以上50%未満:40%、

50%以上60%未満:50%、

60%以上70%未満:60%、

70%以上80%未満:70%、

80%以上90%未満:80%、

90%以上100%未満:90%、

100%:100%)

100

所得割10

均等割5割

平等割5割(旧被扶養者のみで構成される世帯に限る。)

対象期間

減免の申請のあった日の属する年度末まで(ただし、必要に応じ、当該申請日の属する年度の翌年度末まで【被災した日が属する月から起算し、最大12月】延期することができる。)

減免の申請のあった日の属する月以降、保険料を納付することが可能となるまでの間(ただし、必要に応じ、当該申請日の属する年度の翌年度末まで延期することができる。)

拘禁されている期間

減免の申請のあった日の属する月以降

2 一部負担金の減免及び徴収猶予

 

(1)減免

   保険者は、次のいずれかに該当する世帯であって、必要があると認めるときは、その申請により、一部負担金の支払若しくは納付を免除することができる。一部負担金の減免の期間は、療養に要する期間を考慮し、1箇月単位の更新制で3箇月までを標準とする。ただし、必要に応じ、6箇月まで延期することができる。

  一 震災、風水害、火災、その他これらに類する災害により、世帯主(主たる生計維持者を含む)が死亡し、障がい者となり、又は居住する住宅について著しい損害(@全壊、全焼、大規模半壊、A半壊、半焼、B火災による水損又は床上浸水)を受けたとき。

二 次に掲げる事由等により、世帯収入が著しく減少したとき(世帯収入見込みが生活保護基準の

110%以下であり、かつ、申請時点での預貯金の額が生活保護基準に110%を乗じた額の3箇月

分以下であること)。

@ 事業又は業務の休廃止、失業

A 干ばつ、冷害、凍霜害等による農作物の不作、不漁

B 世帯主(主たる生計維持者を含む)の死亡、入院、傷病

 

(2)徴収猶予

   保険者は、前記(1)の各号のいずれかに該当する世帯であって、必要があると認めるときは、その申請により、6箇月以内の期間を限って、一部負担金の徴収を猶予するものとする。この場合において当該世帯の世帯主が保険医療機関等に対して当該一部負担金を支払うべきものであるときは、当該保険医療機関等に対する支払に代えて当該一部負担金を直接に徴収することとし、その徴収を猶予することができる。

 

(3)減免又は徴収猶予の対象となる診療

   入院及び外来

 

(4)減免又は徴収猶予の割合

   10

 

3 特定健康診査

  次に掲げる項目について、事業実施による効果が実証され、医療費適正化効果が期待されることから、府内全域で共通して特定健康診査の基本的な項目に加えて実施することとする。

  @ 血清クレアチニン検査(eGFR)

  A 血清尿酸検査

  B 血糖検査(HbA1c)

 

2018年度大阪府内市町村はどう動いたか

 ◎都道府県ごと・市町村ごと(被保険者)の助け合いで事業費納付金計算をする

・全国レベルでいえば、都道府県ごとの被保険者の平均所得が全国平均より高ければ調整交付金が減らされる。

・都道府県ごとでは、平均所得の高い自治体が低い自治体を助けるような事業費納付金計算を行う。

・さらに統一保険料率は医療費水準を加味しないので、被保険者所得が高い自治体の保険料が一層高くなるよう設定される。

 ◎激変緩和投入は今年度が最高額

・初年度は大阪府全体で43億円の激変緩和が投入され市町村事業費納付金計算が行われた。

◎保険料はどうなったか

・比較的安く設定していた市町村は一般会計法定外繰入、もしくは基金を繰り入れ、保険料が上がらないように努力した。

   ・もともと保険料が以上に高かった市町村は統一保険料にした方が安くなるため統一保険料に合わせた

・ただし、7割軽減世帯(世帯所得33万円以下)が概ね値上がりとなった。

 ◎条例減免はどうなったか

・大阪の市町村は保険料・一部負担金減免など、大変すぐれた内容をもっている。減免内容のレベルの高い自治体は今年度条例改正せず。(四條畷市の保険料減免制度、東大阪市と八尾市の一部負担金減免制度など)

・しかし、一部の市町村は大阪府統一基準に合わせた。

 ◎一般会計法定外繰入は

・予算時には全ての市町村が減額、もしくは行っていない。

□大阪府資料(平成30822日全国主管課長協議会「大阪府における新国保制度施行後の課題と対応」)

 

【激変緩和措置計画(各市町村における府内統一基準の実施予定)

 

2018

2019

2020

2021

2022

2023

2024

保険料率

8

4

0

2

1

0

28

保険料減免基準

9

2

0

2

2

1

27

一部負担金減免基準

22

5

0

2

0

0

14

 

【この計画で何がわかるのか】

  ※今年度、統一保険料率にしたのは、保険料が高かった自治体

  ※一部負担金減免は東大阪市、八尾市、柏原市、摂津市以外は統一基準にした方が制度が拡充するため

  ※2024年に「統一」とする自治体が半分以上。つまり、「ぎりぎりまで統一しない」との意思表明と考えられる。

 

□保険者努力支援制度は「統一国保」では意味がない

 ・いくらインセンティブがもらえて黒字になっても保険料に反映できないなら仕方ない(20175月「大阪社保協「大阪府統一国保問題キャラバン」でいくつもの市町村の課長から出た声)

 ・厚生労働省の島添課長補佐は前出の研究協議会シンポジウムで大阪府の保険料統一の方針を取り上げた上で『保険料統一の定義が実は曖昧で、これら保険料統一は一体何かということを県と市町村で議論しなければならない。大阪府も統一保険料率とはいえ、国保運営方針をみると直診勘定分は統一保険料率の外に置いており、2号繰入金で医療費適正化のインセンティブを効かせることに関しては、その2号繰入金は保険料率に反映できないということになる。大阪府が考えた保険料率の定義、統一の枠外に置いた費用はなにかを伺いたい』と質問した。

・それに対し、大阪府の山本課長は『大阪府の場合、保険料率統一ありきという形で進めたのも事実。そもそも完全統一という形とは若干ずれている。保険料統一を進める、形とするためにまずは運営しやすい、皆さんが合意していただけるような部分を残して導入した。したがって、運営方針も33年度までという形にしたのが実情』とした。その上で、『今後、進み具合や被保険者への影響をみながら、33年度以降の運営方針で統一的なものに進むのか、もう少し遅めにやらなければならないのかといった状況になると思う』と述べた。(国保実務201893日付より)

 

□それどころか、統一国保推進派の豊中市が今年度特定健診内容を統一基準に合わせ縮小。

 ・豊中市はもともと市民健診時代は大阪府内でもトップレベルの健診内容を誇っていた自治体。

 ・特定健診実施後も旧「市民健診」内要と同じレベルとするために国基準に数多くの項目を追加してきた。

 ・豊中社保協の中村厚会長(医師)からのコメント

「豊中市は、市民健康診査の内容を大幅に改定(改悪)して最小限の『大阪府国保特定健診統一項目』とし、昨年までの豊中市独自の追加項目は全てなくしました。2017年度の豊中市特定健診実施状況は、29.8%の見込み(大阪社保協資料)で2018年度は、35%を目標にしています。自己負担を700円からゼロとしたことは評価できますが、健康診査の内容があまりにもお粗末でこれでは『メタボ』しか判定できません。実際、自治体キャラバンでも担当者は、メタボ健診に特化したと発言していました。これでは、病気を早期発見して市民の健康を守るには不十分です。」

 

★いま問われる住民・被保険者に一番近い市町村の役割

 □使えない「統一基準 減免制度」〜今年、大阪は度重なる災害に見舞われている。

  ・618日 大阪府北部地震〜大阪の北摂豊能・北河内とよばれる地域が被災

高槻市、茨木市、摂津市、豊中市、枚方市、交野市、大東市では主に瓦が飛びブルーシート状態に。

         ⇒しかし、大阪府「統一基準」だと、国保料の減免基準は全壊・半壊のみ

         ⇒阪神淡路大震災レベルでないと使えない。

  ・94日 台風21号〜海沿いの大阪市南部と泉南地域と呼ばれる地域が被災

         大阪市住之江区、港区、岸和田市、和泉市、貝塚市、泉佐野市、泉南市などで長期停電、屋根の損傷、ブルーシート状態に、

⇒これも大阪府「統一基準」だと使えない

  □国保料は税金よりも高く、免除制度がとにかく必要。

□高槻市では独自減免が生きており、2年間国保料等が半額となる(以下減免内容)。国保災害減免では「一部損壊」での申請が4000件以上(高槻市キャラバンでの回答)

 

【高槻市ホームページより】

◎地震及び台風等の災害に伴う国民健康保険料の減免等について

大阪府北部を震源とする地震及び台風第21号による風水害等により、被害に遭われた方につきましては、下記の各担当課までお問合せください。

 

保険料の減免および納付相談

地震及び台風等の災害により家屋等に多大な損害を受け保険料の納付が困難となる世帯を対象に、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料の減免が受けられる場合があります。但し、り災証明書が必要になります。

 

被災程度

減免割合

減免対象

国民健康保険

一部損壊         

保険料の50%

罹災した月以降の保険料

半壊・全壊

保険料の100%   

介護保険

65歳以上の方)

一部損壊         

保険料の50%

罹災した月以降の保険料

半壊・全壊

保険料の100%   

後期高齢者医療保険

75歳以上の方など)

半壊

保険料の70%

申請した月以降の保険料(※一部損壊は減免対象外)

全壊

保険料の100%   

 

  ※統一国保では3年後にしか見直しができない。

  ※災害など危機的状況の時ほど、地域住民に身近な市町村の真価が問われる。

★今後の動き

  ・1022日  2019年度仮係数と納付金ガイドラインが示される予定

  ・12月初までに大阪府が試算を示す予定(昨年は1210)

    ⇒試算結果の厚生労働省への提出期限11月末

  ・1228日確定係数提示

  ・1月初旬に大阪府確定値(2018年度は110)

★大阪社保協としての取り組み

12月中に「2019年度にむけて統一国保問題学習決起集会」を開催

   目的    2019年度の国保料がどうなるのか、3月議会・統一地方選挙にむけての学習と意思統一を図る

日程案   1212日〜19日のどこかで  夕方から

   内容案   前半 大阪府からの説明・レクチャー2時間

          後半 学習決起集会

   ※一昨年はこの形で開催できたが、昨年は多忙とのことで大阪社保協事務局でレクをうけ、その内容で学習決起集会を行った。

   ※1011日の大阪府との話では、年末のレクは難しいというニュアンス

□年内、大阪府に対して国保での要望書を提出し、来年交渉を企画

 

豊中市長 長内 繁樹様                            2018年  月

豊中社会保障推進協議会

会長   中村 厚

 

豊中市国民健康保険料・介護保険保険料と

減免等制度のありかたに関する要望書

 

国民健康保険(国保)は戦後、「国民皆保険」計画の中で、農民、漁民、低所得労働者、無職者、高齢者、病人など社会的弱者を加入者とするために地域保険であった国民健康保険を医療のセーフティネットとして再編しました。そのため国保法第1条には社会保障制度であることが明記されており、現在もなお変わっていません。

20184月から国保の保険者は都道府県と市町村となりましたが、特定健診項目・保険料の決定などはいままでと同様に市町村に権限があります。また各市町村が持つ条例減免制度は、個別の事情や歴史を反映した多種多様な内容となっており、原資は一般会計法定外繰入で行っています。ところが大阪府は、統一した保険料や減免制度を市町村におしつけてきています。

いま、国保料は府のいいなりに7年連続の値上げが計画され「もうこれ以上負担できない、払えない」と市民から声があがる、加入者の暮らしや命を脅かすものとなっています。また、介護保険料も、2000年のスタート時に比べ、たびかさなる値上げによって、約2倍にもなっています。

そうした点をふまえ、以下の点について強く要望いたします。

 

【要望項目】

 

●国民健康保険料の値上げを中止すること。

●これまで市民と作り上げてきた国民健康保険料の減免制度を後退させないよう、現在の制度・内容を維持・拡充すること。

●「メタボ健診」に特化して項目を減らした特定健診を2017年度実施の項目に準じて戻すこと。

●介護保険料を値下げすること。