大阪社保協通信  1176号 2018.2.11

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生活保護基準引き下げについて、低所得世帯の具体的な暮らしについて、鈴木あきこさん(仮名)が集会で発言。国会で日本日本共産党志位委員長も取り上げ大きな反響広がる。

201712月末に閣議決定した生活保護基準引下げは、都市部の単身者・高齢者、及び子育て世代の基準が下がるという最悪の内容となっています。今国会で決定すれば10月からの実施となります。

2018年基準引き下げの内容

1 生活扶助基準の減額 ☞▲1.8%、最大5%201810月から3段階で

2 子どもの関する扶助・加算の見直し         ▲180億円 

@児童養育加算(学校外活動費用)

月1万円(3歳未、1.5万)/中学生まで→月1万円/高校生まで+40億円                           

A母子加算 現:月2.1万円(子1人)→1.7万円(▲0.3万円)▲20億円

B学習支援費 クラブ活動費・実費に限定した上で増。参考書代は@へ「吸収」/入学準備金増/高校受験料の回数増

3 大学進学者への一時金(自宅生10万円、下宿生30万円)、住宅扶助減額はしない

 

☞生活扶助基準(加算を含む)は受給世帯の67%で減少(8%据置、26%増加)

 

1.25 「ねがいは普通に暮らすこと〜なのにまた生活保護基準引下げ」集会 吉永教授基調講演資料より】

 

1月25日夜にエル大阪で開催された「ねがいは普通に暮らすこと〜なのにまた生活保護基準引下げ」集会で、シンママ大阪応援団メンバーのシンママさん鈴木あきこさん(仮名)が発言をしましたので、紹介します。貧困世帯がどのようにして暮らしているのか、具体的に話をしてくれています。

なお、この内容については、2月5日の国会予算委員会で日本共産党の志位委員長が生活保護基準引下げに関する質問の中で引用されました。

★子どもたちの未来を奪う生活保護基準引下げはやめてください

私は中学生と小学生のふたりの子どもがいる母子世帯です。今回の案が通ってしまうと、引き下げ率が高い世帯となってしまいます。引き下げの理由は、一般低所得世帯と比べた時、私たちの支出額の方が上回ったから と聞きました。
 でも私はここは大変疑問に思うところです。
 保護受給が決定する前、つまり今回でいうところの一般低所得世帯であった頃の私たちの生活はとてもとても厳しいものでした。私は今より8キロ以上痩せていました。子ども達を食べさせる為に自分はあまり食べずにいました。生活に対する不安感が強過ぎて感覚がにぶくなっているのか、外に出てるときはお腹が空いているのに、家に帰って子ども達を目の前にすると、その感覚を失うのです。貧しいのは私のせいなんだから私は食べたらダメ とゆう脅迫に近い感情がそこにはありました。

お風呂は湯温をギリギリまで下げてお湯をため、シャワーは使わず、3人一緒に入っていました。お風呂から上がる時は浴槽の中にはずいぶんと冷めたわずかなお湯が残っているだけ。当時、子ども達は「寒い寒い」と言いながら大急ぎでからだを拭いていました。冬場でも洗い物はお湯をつかいません。水道代を下げる為に、野菜を洗う時はバケツに水を受け、その水やわずかなお風呂の残り湯でベランダ掃除やトイレの排水にも使いました。お風呂の残り湯はほぼ使い切ります。

室内の電気も暗くなるギリギリまでつけず、また子ども達を早く寝かせて私も電気を消して早々と布団に入っていました。夜テレビを見ることも楽しみもない夜です。夏場、クーラーはつけず、汗だくで1日を過ごします。ただ寒さだけは辛かったです。惨めな気持ちになるからです。

1番辛かったのは無保険だった期間です。3年間、幼い子どもを1度も病院へ連れていけませんでした。息をひそめ、薄氷の上を歩いているような生活でした。

でもそんな生活は、外側からは見えにくい状態であったと思います。あまりにも恥ずかしい生活なので、周囲には悟られないようやっていました。「昨日家おった?電気ついてへんかったから」とご近所さんに言われたら「外食に出かけててん」と答えました。

子どもの友だちが遊びに来ている時は娘がこっそりと「今日はおトイレふつうに流していいねんな?」と確認します。もちろんクーラーも暖房もその時はつけました。子どもの友だちには、私たちの生活スタイルに気づかれないようにしていました。

一般低所得世帯の中には、そんな生活をしている世帯が多く存在しているかもしれません。支出額が少ない生活とは、そのような生活だからです。国には、そんな生活が人として健全な暮らしであるかどうか目を向けていただきたい。本当に必要な対策は、生活保護費を下げる事ではなく、保護受給世帯や低所得世帯の生活実態を把握して考えていくことではないでしょうか?

辛くて惨めな生活は、保護受給時から天国のようになりました。子ども達に食べさせてあげれる安心感、それは母親としてはとても幸せなことでした。私には、国が神様のように見えました。心から感謝しました。そして思ったことは、「この負の連鎖を断ち切りたい。子どもにしっかり食べさせて、こころも身体も丈夫な子に育てよう。そしてこの子達は今度は私のような困窮者を助けてあげられる自立した大人になるんだ。そうやって子を育てることが助けていただいた国に対して私のできる恩返しなんだ」そう思って今を生きています。

その為に学びは大切だと思っています。子どもには高校、望むのであれば大学まで進学させてあげたいと考えています。大阪市では、低所得世帯に対して1万円の塾代助成金がでます。4月は保護開始から半年でまだまだ生活に安定感がなく難しかったのですが、この秋11月から私は中学生の長女を塾にかよわせはじめました。勉強だけが全てではないと思いますが、読み解く力や学ぶ喜びは、これから彼女が社会に出ていくための大きな力となると思っています。一万円では足りないので余分は支払っていますが、この子の未来のための投資で惜しいとは思いません。

ただ、今回の引き下げが決定した時、今度はどこを削って生活しよう。光熱費も食費も今が限界です。子ども達の将来かかってくる学費や今現在使っている塾代を縮小する。そこしかありません。私はそれがとても悲しいのです。子どもの学びにかけるお金を削らなくてはいけないとゆう現実をつきつけられ、しっかり育てて恩返ししたいという気持ちが踏みにじられているようです。こんな形で、本当は感謝したい国に対して、反対意見を出すということがとても悲しいです。どうか親子ともに自立しようと思う気持ちを折らないで下さい。            鈴木あきこ(仮名)