大阪社保協通信 第1164号 2017.6.27
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「大阪府統一国保緊急キャラバン行動」のべ600人が参加し終了。行ってみてわかった市町村の大阪府に対する不信・不満・疑問。9月までが勝負!緊急署名にとりくもう!
大阪社保協では、5月15日から6月21日までの1カ月間、大阪市・松原市・泉南市をのぞく40市町村に対する「国保緊急キャラバン行動」を実施しました。この緊急キャラバンで明らかになったことをお知らせします。
【各市町村への質問内容】
@2月に大阪府が試算した内容についてどのように考えるか
A8月の次回試算はどうなると考えているか
B事業費納付金が保険料で集めきれない場合はどのような方策をとるのか
C条例減免制度は「共通基準」を決めて統一すると大阪府は言ってきたが、いまどこまで決まり、共通基準以上の減免制度を持っている場合、どうするのか
D今年度中に累積赤字が解消しない自治体・・・・累積赤字の解消を来年度以降どのように行うのか
【第一回試算・統一保険料率】 |
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統一保険料試算 |
所得割料率 |
均等割金額 |
平等割金額 |
医療分 |
8.79% |
34,970 |
24,976 |
後期高齢者支援金 |
2.60% |
10,455 |
7,467 |
介護納付金 |
2.41% |
12,190 |
6,292 |
合計 |
13.80% |
57,615 |
38,735 |
★国保緊急キャラバンで分かったこと
@想像以上に必要保険料が高くなったことによる動揺
◎第一回目の試算は「粗い試算」「参考にならない数値」といいながらも、試算での統一保険料額が大きく跳ね
上がったところはショックを隠しきれない。
「ここまで上がるとは思っていなかった」「下がるならまだしも上がるなど市民に説明がつかない」「うちは単独でいけば来年も黒字になるし保険料も下げられるのに」などの声が次々と上がった。
◎今回の標準保険料率(統一保険料率)は大阪の所得水準β=0.8154(全国平均がβ=1)であるため、所得割が50%を大きく割り、均等割・平等割が大きくなる。そのため、多人数世帯=子育て世代と政令軽減がかかる低所得世帯の保険料が高くなるため、新たな統一の低所得者減免(原資は大阪府の独自支出で)を求める声が多い。
◎守口市では現行保険料より若干低めの試算が出ているため問題意識がなかったが、「守口市長の施政方針は子育て現役世代支援だが、この国保料はそれに逆行するが、市長はこのことを知っているのか」との問いに対してしどろもどろの回答となった。
◎貝塚市「応益割が高騰する保険料となるので、現役世代、子どもの保険料を押さえるために大阪府が新たな負担をして減免制度を作るよう泉州ブロックとして市長会への意見を出した」
A減免制度を統一することへの抵抗
◎富田林市は昨年より「減免制度は統一せず市町村の権限尊重を」との考えを議会でも表明し、大阪府に対しても意見を挙げている。
◎茨木市「減免制度について各市の独自性を反映した制度設計となるよう意見するとの議会答弁」
B8月の次回試算について〜多くが下がるのではないかと期待するなか茨木市が問題提起
◎今後7月に示される新たな財政支援1700億円については期待する声もあるが、全額投入されても1人当5000円程度、特に半分の保険者努力支援制度については、「特定健診・がん検診等保健事業の過去の受診率に対して交付されるが、大阪では殆ど基礎点しかもらえないのではないか」との問いに対して答えられる自治体はいまのところはない。
◎茨木市「8月の試算はもっときびしいものがでると予想。理由は@被保険者の所得が下がっているA被保険者数が減っているB医療費が増大している」。
C黒字になっても保険料が下げられないのはおかしいとの声
◎現行で一般会計法定外繰入を1円も入れなくとも黒字で基金をもっているとこもある。こうした自治体は、統一保険料となれば、「黒字なのに保険料を下げることができない」という矛盾にぶちあたる。(羽曳野市、河南町、千早赤阪村など)
◎吹田市「以前からと同様の考え方、市の賦課権限が生きているのであれば行使する」「納付金が集めきれなくて保険料あげるのはいいが、インセンティブなどで黒字になっても保険料あげられないというのではロジックがおかしい」
D累積赤字があり、かつ収納率が低い自治体は非常に困難な状況に
◎累積赤字が2017年度末に解消しない自治体は、基本的に来年度移行は「赤字も黒字も出ない国保会計」となるため、一般会計法定外繰入をしない限り解消することは非常に難しくなる。
◎繰入しないで累積赤字解消をする方法は、保険料に赤字分を上乗せするか、滞納繰越分の徴収強化=差押え等強化くらいしかない。
◎さらに収納率が低い自治体は納付金分100%徴収が難しくなり、たちまち対応(一般会計法定外繰入か大阪府財政安定化基金からの貸付)を迫られることとなる。財政安定化基金から借りた場合は2年後の事業費納付金計算の時に返済分が上乗せされるため保険料値上げの原因となる。
E医療費を加味しない統一保険料では医療費は果てしなく膨らみ保険料は天井知らずに高くなる
◎統一国保料の最大の弱点は市町村の健診等の努力が一切反映しなくなること。
◎大阪府の国保のシェアは大阪市・堺市・東大阪市で半分。この3市が医療を圧縮する努力をしなければ医療費は際限なく膨らみ、そのつけをその他40市町村が食うという構図となり、結果として保険料は際限なく高くなることとなる。
F大阪府への強い反発・不信
◎3月1日の大阪府による大阪社保協試算説明会で、上嶋総括主査が「市町村データが間違っているのでこの試算はあてにならない」と何度も言っていたが、「市町村が間違ってるのではなく、国・大阪府からの指示の仕方があいまい、予算ベースの数字で出せと言ったり、決算ベースで出せといったり」「府は市町村の実務が全く分かっていない」との声も。
◎「大阪府は2月16日の課長会議で『この数字は公表しない』と言っておきながら、マスコミに流し、新聞報道がされた。どういうことなのか」との不信の声も。
◎どの自治体も大阪府から十分な説明を受けておらず、「大阪社保協さんの方がよく知っておられると思うので今日お会いするのを楽しみにしていた」、「今日は思っていること全部お話したい」などの声も出てくるほど市町村の不満が高まっている。しかし、大阪府にタテつけば「なにかペナルティーがあるのではないか」との漠然とした不安をどこももっている。
◎大阪社保協主催の大阪府説明会で主査が「一般会計法定外繰り入れなど保険料賦課決定権限は市町村の首長にある。大阪府がそれをするなとは言えない」「ただ、尊重してほしい」と言ったとつたえると、一様に「大阪府はそんなことは一度も我々には言わない」との声も。
◎市町村を回って、「どこまでが決まっているのか」「何が決まっていないのか」「なぜこんなに決まらないのか」との声がどこからもでた。大阪府は2015年5月に調整会議を立ちあげ、ワーキングも月2回開催してきたが、ここにきて、「まだ何も決まってない」という状況に陥っている。
◎「こんな準備状況では2018年4月スタートは無理だ」、「統一なんて絶対に無理」、「上島統括主査がこの大事な時に変わり担当者が総入れ替えとなった。もう統一はできないのではないか」との声まで上がっている。
★情勢は一変した〜今後、どのような取り組みが必要か
大阪府統一国保を巡る情勢は去年と全く違っています。これは「第一回試算」が出たことが決定的に大きいと言えるでしょう。具体的な数字により、統一することでデメリットしかないということに直面し、市町村が大きく揺れています。さらに、大阪府国保課の体制が変わり、こうした市町村からの声を押さえきれなくなっているのではないかと、市町村の声を聞いていると感じます。
◎大阪府 8月にちゃんとした試算が出せるかどうかが問われている
次回の8月試算ですが、6月9日に大阪府国保課の新しい統括主査と話をしたところ、「8月中にはぜひ出したい」と言っていましたが、2月の試算がいい加減であったこともあり、「ちゃんとした試算を出す」ことは大阪府の至上命題であると思われます。
今回の試算は7月に厚生労働省から示される「新たな1700億円」などの公費の考え方を加味し、2016年度決算見込みで計算されます。問題は予算より決算見込みの保険給付費(医療費)がどうなっているのかで、茨木市国保課長の言うように医療費が伸びていれば当然2月試算より高い標準保険料率が出る可能性があります。
◎8月試算を公表し生命会も行うことを約束
大阪府に対しては次回試算についても公表すること、そして前回と同様に大阪社保協に対して試算説明会を行うよう要請し、快諾を頂いています。
◎7月7日は中央社保協での厚生労働省レクが入る予定
7月7日には厚生労働省レクの予定です。大阪社保協としては、国保緊急キャラバンで市町村から出されている声を反映したものとする予定です。
◎9月までが勝負〜大阪社保協としては、大阪府議会および各市町村議会に対する緊急署名にとりくむ。
「9月までに方向性(統一するか、しないか)を決めてもらわないと、実務的には来年度予算には間に合わない」こう言う市町村がいくつもありました。大阪社保協としては、9月に向けて「署名」取り組むこととします。考え方は以下、署名は添付します。
★大阪府議会むけは請願とし、統一署名を当面9月府議会に向けて取り組む
★市町村議会むけは、それぞれの地域社保協にとりくむかどうか、また請願か陳情かも含め、検討していただき、地域の判断に任せる
2017年 月 日
大阪府議会議長 宛
【請願人】
大阪社会保障推進協議会
会長 井上 賢二
国民健康保険都道府県単位化の下での
保険料や減免制度のありかたに関する請願
国民健康保険(国保)は戦後、「国民皆保険」計画の中で、農民、漁民、低所得労働者、無職者、高齢者、病人など社会的弱者を加入者とするために地域保険であった国民健康保険を医療のセーフティネットとして再編しました。そのため国保法第1条には社会保障制度であることが明記されており、現在もなお、第一条は変わっていません。
2018年4月から国保の保険者は都道府県と市町村となりますが、保険料の決定などはいままでと同様に市町村に権限があります。また各市町村が持つ条例減免制度は、個別の事情や歴史を反映した多種多様な内容となっており、原資は一般会計法定外繰入で行っています。
しかしながら、いま、国保料は、他の税・社会保険料よりもはるかに高額となっており、加入者の暮らしや命を脅かすものとなっています。
そうした点をふまえ、来年度2018年度からの都道府県単位化においても、以下の点について強く請願いたします。
【請願項目】
●保険料の値上げは絶対に行わないこと。
●大阪府国民健康保険運営方針策定に当たって「技術的助言」であることに鑑み、市町村がこれまで行ってきたように、保険料負担が増えないよう保険料の賦課割合決定や一般会計法定外繰り入れを行えるよう運営方針に明記すること。
●条例減免制度についてはこれまで通りの運用とすること。
●大阪府は2号調整交付金をペナルティー的に市町村に配分しないこと。
●市町村の意見をよく聴き、時間切れ見切り発車のような形で統一化を押し切らないこと。意見がまとまらない場合は、保険料賦課・減免制度などはこれまで通りの運用とすること。
名前 |
住所 |
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2017年 月 日
○○市町村議会議長 宛
【請願人】
○○社会保障推進協議会
会長 ○○ ○○
国民健康保険都道府県単位化の下での
保険料や減免制度のありかたに関する請願・陳情(案)
国民健康保険(国保)は戦後、「国民皆保険」計画の中で、農民、漁民、低所得労働者、無職者、高齢者、病人など社会的弱者を加入者とするために地域保険であった国民健康保険を医療のセーフティネットとして再編しました。そのため国保法第1条には社会保障制度であることが明記されており、現在もなお、第一条は変わっていません。
2018年4月から国保の保険者は都道府県と市町村となりますが、保険料の決定などはいままでと同様に市町村に権限があります。また各市町村が持つ条例減免制度は、個別の事情や歴史を反映した多種多様な内容となっており、原資は一般会計法定外繰入で行っています。
しかしながら、いま、国保料は、他の税・社会保険料よりもはるかに高額となっており、加入者の暮らしや命を脅かすものとなっています。
そうした点をふまえ、来年度2018年度からの都道府県単位化においても、以下の点について強く請願(陳情)いたします。
【請願(陳情)項目】
●大阪府国保統一化による一方的な値上げを行わないこと。
●これまでどおり一般会計法定外繰入を行い、誰もが払える保険料とすること。
●これまで以上に保健事業に力をいれ、それが反映するような保険料とすること。
名前 |
住所 |
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