大阪社保協FAX通信 第1122号 2016.1.9
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大阪市が介護保険新総合事業「緊急要望書」に対し不誠実な回答〜資料公開もせず、訪問事業者調査集約もまだ。堺市は現時点で「最悪」のサービス類型。一方、横浜市は今年1月から「現行相当事業」のみでスタート
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いまだなんの資料も示さず!?大阪市は新総合事業を秘密裏にどうするつもりか?
大阪市は、介護保険制度改定による「要支援者サービスの見直し」(介護保険給付から「総合事業」への移行)を2017年(平成29年)4月から開始します。その内容は今年度(2016年3月まで)中に決めるとしていますが、いまだその内容は非公開で、大阪社保協の情報公開請求に対しても「文書不存在」として全く公開しようとしません。
☆大阪市、報酬2〜3割ダウン案も
11月6日に大阪社保協が行った「大阪市ヒアリング」で得た情報では、@ヘルパーは、無資格者でも可能とし、事業所に対する報酬は現在の7割〜8割に大幅カット Aデイサービスはサービス提供時間などで基準を緩め報酬をカット、というようなものです。
すでに要支援サービスは、2015年(平成27年)4月の国の報酬改定で、デイサービスはで20%もの引き下げ、ヘルパーも5%近く下がっており、事業所の中には大幅な赤字に陥り、閉鎖するところも出てくるほどです。大阪市が独自に報酬を大幅に切り下げれば多くの事業所はやっていけなくなります。
☆「大阪市・堺市介護保険新総合事業対策会議」緊急発足
大阪社保協では、大阪市と堺市の動向が大阪全体の新総合事業に大きな影響を与えるとして12月14日に標記の第一回対策会議を発足し、大阪社保協市内ブロックや民医連の介護保険事業所の責任者の方、年金者組合大阪府本部などから25人が参加しました。
前半、日下部さんから詳細に大阪市と堺市、そして京都市、神戸市、倉敷市の新総合事業の現時点での案について説明があり、現時点では、堺市の新総合事業は「最悪」というのが日下部さんの評価で、目指すべきは「現行相当事業のみ」とする倉敷市、もしくは現行相当事業と短期集中事業のみとする神戸市だということで一致しました。(堺市の新総合事業案については別記)
大阪市内ブロックはその場で以下の取り組みをすすめていこうということになりました。
□年内に大阪市に要望書をだし、1月中に交渉を実施。
□年明けには大阪市内事業所に対してfaxで賛同をあつめて陳情書を議会に提出する。
□年明け早々に大阪市内の事業所にもよびかけた「学習決起集会」を企画。
□事業者むけのわかりやすいビラも作成
☆大阪市に対して大阪市内ブロックが12月22日「要望書」を緊急提出、しかしその回答は不誠実なもの
大阪市内ブロックは第一回対策会議を踏まえ、12月22日に早速、「緊急要望書」を提出しました。大阪市の場合、通常は回答書は1カ月後ですが、今回は昨日8日と大変早く送られてきましたが、内容は以下のように不誠実極まりないものです。
【大阪社保協・大阪市内ブロックからの要望内容】 @現在検討している総合事業の案を公表すること A総合事業のサービス類型については、訪問・通所ともすべて現行相当サービスのみとすること B訪問型サービスの生活援助は、ホームヘルパーがチームの一員として利用者の在宅生活を支える様々な支援や見守り、相談援助、情報収集を行っており、現行の介護予防訪問介護の基準を維持し、基準緩和の対象としないこと B通所型サービスについては、利用者の機能訓練、入浴等清潔保持、社会参加・交流など多彩な機能をもっており、現行の介護予防通所介護の基準を維持し、報酬単価を下げる基準緩和を行わないこと C介護事業所の抱える問題点(人材確保困難、報酬削減等による経営悪化)を踏まえ、地域の介護基盤は維持・向上できる総合事業とすること D窓口では相談者に対しまず要介護認定の申請受け付けることを徹底し、基本チェックリストは希望者のみに地域包括支援センターが実施すること E介護予防マネジメントでは、利用者のサービス選択権を尊重し、多様なサービスへの強制や誘導を行わないこと F総合事業の実施に当たっては、社保協をはじめ関係者と協議を尽くし合意を得たうえで行うこととし、一方的に進めないこと
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【大阪市からの回答】 予防給付の訪問介護および通所介護については、国において「全国一律の基準に基づくサービスから、地域の実情に応じて、市町村が効果的かつ効率的に実施することができる『新しい総合事業』へと移行する」としており、平成27年6月にガイドラインが提示されているところです。 本市といたしましたは、国のガイドラインを踏まえ、平成29年4月までの間に事業を実施することができるよう、現在、検討を進めているところです。 |
☆大阪市に大至急「交渉・懇談」申し入れ
大阪社保協では1月7日、8日と高齢福祉課担当課長および係長と何度も電話でやりとりをしましたが、「大阪市としては現在庁内での意思統一を図っているところで公開する文書もない。1月27日に『大阪市社会保障審議会高齢者福祉分科会』を開催し、そこで初めて原案を出し委員にはかるので、この分科会を経ないときちんとした話はできない」という態度を崩していません。また、昨年11月2日締め切りで大阪市内全訪問介護事業所対象に行った調査については『いまだ集約ができていない』とのことで、なんのための調査であったのか疑問を持たざるを得ません。
大阪社保協からは本日メールで、1月27日の分科会までの交渉懇談(大阪市側からは『協議』)の申し入れを行いました。
☆2月8日(月)午後6時半からエル大阪南館ホールで大規模学習会開催
大阪社保協・大阪市内ブロックは1月7日の第二回対策会議で以下を意思統一しました。
□大阪市との交渉懇談を1月中に緊急に行う。
□大阪市内全訪問介護・通所介護事業所に呼びかけた学習会を2月8日に開催する。その際には大阪市を招へいし『説明』をしていただく。
□事業者向けチラシとアンケートを作成し、上記学習会案内と一緒に送付し、事実をいち早く知らせ、さらに事業所からの声を集め大阪市に提出する(北区、西成区などは地域社保協から直接事業所に送付する)
□市民向けのチラシと要請署名「大阪市の新総合事業〜保険あって介護なし(仮称)」を作成し、地域社保協などで街頭宣伝なども行い、市民向けにアピールする。
□各地域社保協からも区役所に要望書を提出し交渉を行う。
□各区レベル手背も学習会や決起集会を企画する
なお、学習会については、エル大阪南館ホールを押さえましたので、事業所向けチラシと事業所アンケートとともに早急に作成し、メール配信しますので、直接送付ができる地域社保協はお知らせください。それ以外は大阪社保協からfaxで事業所に送信します。
なお、この学習会で大阪市としての新総合事業の考え方について説明をしていただくよう要請しています。
★最悪の「サービス類型」づくり〜堺市の新総合事業検討内容
堺市は、2017年4月に新総合事業開始に向け検討を進めていますが、現時点で検討されている「サービス類型」の案は、サービス利用者や介護事業所の状況を無視したひどい内容となっています。
堺市の昨年末時点での検討案は、次のようなものです。
□訪問型(ホームヘルプの移行先)は、
訪問型サービスT(現行相当) 現行通りの基準・報酬
訪問型サービスU(基準緩和) 無資格者可 報酬は現行の75%
無資格者は6時間×2日間の研修
訪問型サービスV(シルバー人材センター)
訪問型サービスW(ボランティア主体) 超低額(一か所月2万円)の補助
□通所型(デイサービスの移行先)は、
通所型サービスT(現行相当) 現行通りの基準・報酬
通所型サービスU(基準緩和) 人員基準緩和 報酬75%
通所型サービスV(機能訓練特化型) 短期間(3ケ月、1回延長可)で短時間
通所型サービスW(ボランティア主体) 超低額(一か所月2万円)の補助
これらは、サービス種別だけをそろえることを目的にして、安物・無資格者サービスを並べたものです。
□訪問型サービス
たった2日間の研修で生活援助を無資格者でも可能とし、報酬は25%も引下げます。今でも訪問介護事業所は深刻な人材不足ですが、無資格者にしたところでこんなに低い報酬では、人材確保できる保障はありません。基準緩和型サービスを今のヘルパーの職員でやれば報酬だけが下がり、事業所の経営がますます悪化することになります。また、シルバー人材センターやボランティアにヘルパーの代替ができるとは考えられません。
□通所型サービス
「人員基準緩和」を口実に報酬を25%も引下げます。予防通所介護は昨年4月の報酬改定で22%も下がった上に、さらに下げればやっていけない事業所も続出します。通所介護は「人員基準緩和」は、大阪市は「ありもしないこと」(担当者)としているくらいで、横浜市も「緩和の余地が少ないので設定しない」とし、神戸市の検討案でも採用されていません。厚労省のセミナーでさえ「大幅にさげるのは現実的でない」といっているくらいです。
また、堺市が昨年10月実施した通所介護事業所アンケートでも「参入予定」と答えた事業所はたった2.2%しかなく、「参入する方向で検討」も19.5%しかなく、事業所からもノ―を突き付けられたものです。にもかかわらず、こんな切り上げ案を検討するのは常識はずれというものです。
さらに、通所型サービスV(機能訓練特化型)は 短期間(3ケ月、1回延長可)と言うものです。現在要支援のデイサービスの6割近くを占めているリハビリ型の短時間デイサービスは短期間のうちに利用者を「卒業」させることを迫られかねません。
□ボランティアを愚弄するような超低額補助
ボランティア主体のサービスWは 1カ所月額2万円が基本額でケアプラン対象者を10人以上受け入れても月1万円しか加算しないという超低額でボランティア団体の活動実態も無視したものです。
□サービス併用不可のローカルルールも
堺市は訪問型、通所型もその中で「各サービスの併用不可」としています。これでは利用者は「多様化」されたサービスをどれか一つしか利用できないことになってしまいます。厚生労働省の総合事業ガイドラインでもサービスの併用は「可能」とされているのに、それすら否定するローカルルールは許せません。
□2017年4月全員移行
厚生労働省の総合事業ガイドラインでは、要支援認定を更新した人から順次移行し、全員移行するのに1年かけて行うことになっています。ところが、堺市の検討案では2017年4月に全員一斉に移行となっています。利用者も事業所も契約の差し替えなど、多大な負担が一度に迫られることになりかねません。
堺市はまさに「最悪」の案です。堺市はこの案を公表もせず、事業者や利用者の意見を聞こうとしていません。
☆現行サービスのまま総合事業移行の自治体もある〜横浜市、倉敷市
総合事業を今年度実施する市の中には、報酬を切り下げる基準緩和型などを導入せず、今までどおりの基準・報酬で実施するところもあります。
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総合事業移行時期 |
ホームヘルプ |
デイサービス |
横浜市 |
2016年1月 |
移行時は現行どおりの基準・報酬のみで実施 |
現行どおりの基準・報酬のみで実施。基準緩和型は実施しない |
倉敷市 |
2016年3月 |
移行時は現行どおりの基準・報酬のみで実施 |
移行時は現行どおりの基準・報酬のみで実施 |
厚生労働省のセミナーでも「やみくもに報酬を下げるのはよくない」と指摘
厚生労働省が自治体担当者向けに開いた「総合事業移行ロードマップセミナー」でも「各種のサービスは費用を抑制することが主目的でない」「やみくもな引下げは地域の人材を疲弊させたり、反発を得るだけ」と指摘しています。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆各地の地域社保協のみなさんへ★☆★☆★☆★☆★☆★☆
以上は、大阪市・堺市の動きですが、他の自治体も当然今年度中に考え方や方向性を決定するはずです。要望書は大阪市の緊急要望書を参考にしながら策定し急ぎ提出、交渉懇談の場をつくり、自治体の動向をつかみましょう。
また、この運動は地域の事業者をいかに巻き込んでいくのかがカギとなります。デイサービス調査での結果、そしてつながりも活かし、事業者への働きかけを強めていきましょう。
大阪市介護保険新総合事業(案)を学ぶ学習会 〜介護事業者と利用者をまもれるのかどうか検証をしよう〜 大阪市は、介護保険制度改定による「要支援者サービスの見直し」(介護保険給付から「総合事業」への移行)を2017年(平成29年)4月から開始します。その内容は今年度(2016年3月まで)中に決めるとしています。 いまだその内容は非公開ですが、1月27日に開催される「大阪市社会保障審議会高齢者福祉分科会」で初めて公となります。 昨年11月6日に大阪社保協が行った「大阪市ヒアリング」で得た情報では、@ヘルパーは、無資格者でも可能とし、事業所に対する報酬は現在の7割〜8割に大幅カット Aデイサービスはサービス提供時間などで基準を緩め報酬をカット、というようなものです。 すでに要支援サービスは、2015年(平成27年)4月の国の報酬改定で、デイサービスはで20%もの引き下げ、ヘルパーも5%近く下がっており、事業所の中には大幅な赤字に陥り、閉鎖するところも出てくるほどです。大阪市が独自に報酬を大幅に切り下げれば多くの事業所はやっていけなくなります。 大阪社保協では大阪市の事業案を学び事業者と利用者をまもれるものかどうか検証する学習会を開催いたします。多くのみなさんに参加を呼びかけます。 ★日時 2016年2月8日(月)午後6時半〜9時 ★会場 エルおおさか南館ホール(地下鉄天満橋下車徒歩5分) ★内容 1月27日の分科会で出された内容について解説・検証します ※大阪市高齢福祉課担当者に説明をしていただくよう出席を要請しています ★参加費 資料代1000円 ★規模 200人(先着順) ★申し込み 必ず以下の申し込み用紙ご記入の上、faxにて事前申し込み願います。 ★主催 大阪社会保障推進協議会 06-6354-8662 fax06-6357-0846 メールosakasha@poppy.ocn.ne.jp ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 大阪市介護保険新総合事業(案)を学ぶ学習会申込用紙 ふりがな □氏名 □事業所・団体名 □種別 訪問介護 ・ 通所介護 ・その他(
) □連絡先 п@ fax |