大阪社保協FAX通信 第1090号 2015.1.22
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1月21日、国保都道府県単位化問題で厚労省交渉実施
1月21日午後、参議院会館地下会議室において、中央社保協が申し入れて厚生労働省交渉が行われ、大阪社保協・寺内事務局長が参加しました。国保での交渉ではおもに国保都道府県単位化についてのやりとりがありましたので報告します。厚生労働省側は大江係長が対応しました。
★国保都道府県単位化は国保法改正法案としてではなく「医療制度改革一括法案」として今国会の早い段階で上程!?
国会は1月26日開会ですが、国保都道府県単位化は国保改正法案としてではなく、以下の医療保険制度改革の内容をまとめた「一括法案」として上程されます。
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医療保険制度改革骨子(平成27 年1月13 日社会保障制度改革推進本部決定)
医療保険制度改革については、持続可能な制度を構築し、将来にわたり国民皆保険を堅持することができるよう、以下の骨子に基づき、各年度において必要な予算措置を講ずるとともに、本年の通常国会に所要の法案を提出するものとする。
1.国民健康保険の安定化
○ 国保への財政支援の拡充等により、財政基盤を強化する。具体的には、平成27 年度から保険者支援制度の拡充(約1700 億円)を実施する。これに加えて、更なる公費の投入を平成27 年度(約200 億円)から行い、平成29 年度には、高齢者医療における後期高齢者支援金の全面総報酬割の実施に伴い生じる国費を優先的に活用し、約1700 億円を投入する。
公費追加の投入方法として、国の国保財政に対する責任を高める観点からの財政調整機能の強化、自治体の責めによらない要因による医療費増・負担への対応、医療費の適正化に向けた取組等に対する支援、財政安定化基金による財政リスクの分散・軽減等を実施する。
○ また、平成30 年度から、都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業運営の確保等の国保運営について中心的な役割を担うこととし、制度の安定化を図る。
具体的には、都道府県は県内の統一的な国保の運営方針を定め、市町村ごとの分賦金決定及び標準保険料率等の設定、保険給付に要する費用の支払い、市町村の事務の効率化・広域化等の促進を実施する。市町村は、地域住民と直接顔の見える関係の中、保険料の徴収、資格管理・保険給付の決定、保健事業など、地域におけるきめ細かい事業を引き続き担う。引き続き、地方との協議を進める。
○ 財政運営に当たっては、都道府県が医療費の見込みを立て、市町村ごとの分賦金の額を決定することとし、市町村ごとの分賦金の額は、市町村ごとの医療費水準及び所得水準を反映する。国の普通調整交付金については、都道府県間の所得水準を調整する役割を担うよう適切に見直す。保険給付に要した費用は都道府県が市町村に対して確実に支払う。
2.高齢者医療における後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入
○ 被用者保険者の後期高齢者支援金について、より負担能力に応じた負担とし、制度の持続可能性を確保する観点から、総報酬割部分(現行制度では3 分の1)を平成27 年度に2 分の1、平成28 年度に3 分の2 に引き上げ、平成29 年度から全面総報酬割を実施する。
○ 被用者保険の負担が増加する中で、拠出金負担の重い被用者保険者への支援を実施する。(平成27 年度は約110 億円。全面総報酬割が実施される平成29 年度には約700 億円の見込み。これに加え、既存の高齢者医療運営円滑化等補助金が後期高齢者支援金部分の縮減に対応して、平成27 年度は約200億円。平成29 年度は約120 億円の見込み。)
3.協会けんぽの国庫補助率の安定化と財政特例措置
○ 国庫補助率の特例措置が平成26 年度末で期限切れとなる協会けんぽについて、国庫補助率を当分の間16.4%と定め、その安定化を図る。ただし、現下の経済情勢、財政状況等を踏まえ、準備金残高が法定準備金を超えて積み上がっていく場合に、新たな超過分の国庫補助相当額を翌年度減額する特例措置を講じる。
4.医療費適正化計画の見直し
○ 都道府県が、医療機能の分化・連携、地域包括ケアシステムの構築を図るために策定される地域医療構想と整合的な目標(医療費の水準、医療の効率的な提供の推進)を計画の中に設定し、国においてこの設定に必要な指標等を定めることとする。
○ 上記の見直しにあわせて現行の指標(特定健診・保健指導実施率、平均在院日数等)について必要な見直しを行うとともに、後発医薬品の使用割合等を追加する。
○ 計画について、毎年度の進捗状況管理、計画期間終了前の暫定評価等を行い、目標が実績と乖離した場合は、都道府県はその要因分析を行うとともに、必要な対策を検討し、講ずるよう努めるものとする。
○ 都道府県は地域医療構想の策定後、同構想と整合性が図られるよう医療費適正化計画を見直すこととし、第3 期計画(平成30〜35 年度)を前倒して実施する。
5.個人や保険者による予防・健康づくりの促進
○ 個人の予防・健康づくりのインセンティブを強化するため、加入者の予防・健康づくりに向けた取組に応じたヘルスケアポイントの付与や保険料への支援等について、国が策定するガイドラインに沿って保険者が保健事業の中で実施できることを明確化する。また、データヘルス(保険者がレセプト・健診等のデータ分析に基づき加入者の健康状態等に応じて行う保健事業)を推進する。
○ 後期高齢者支援金の加算・減算制度について、予防・健康づくり等に取り組む保険者に対するインセンティブをより重視するため、多くの保険者に広く薄く加算し、指標の達成状況に応じて段階的に減算する仕組みへと見直し、平成30年度から開始する。特定健診・保健指導実施率のみによる評価を見直し、後発医薬品の使用割合等を追加し、複数の指標により総合的に評価する仕組みとする。
○ 平成28 年度から、後期高齢者医療広域連合において、栄養指導等の高齢者の特性に応じた保健事業を実施する。
6.負担の公平化等
@ 入院時食事療養費等の見直し
○ 入院時の食事代(現行:1 食260 円)について、入院と在宅療養の負担の公平等を図る観点から、食材費相当額に加え、調理費相当額の負担を求めることとし、平成28 年度から1 食360 円、平成30 年度から1 食460 円に段階的に引き上げる。
○ ただし、低所得者は引上げを行わない。難病患者、小児慢性特定疾病患者は現在の負担額を据え置く。
A 紹介状なしで大病院を受診する場合等の定額負担の導入
○ フリーアクセスの基本は守りつつ、外来の機能分化を進める観点から、平成28 年度から紹介状なしで特定機能病院及び500 床以上の病院を受診する場合等には、選定療養として、初診時又は再診時に原則的に定額負担を患者に求めることとする。定額負担の額は、例えば5000 円〜1万円などが考えられるが、今後検討する。
B 所得水準の高い国保組合の国庫補助の見直し
○ 所得水準の高い国保組合の国庫補助について、負担能力に応じた負担とする観点から、平成28 年度から5 年かけて段階的に見直すこととし、所得水準に応じて13%から32%の補助率とする。
○ 具体的には、所得水準が150 万円未満の組合には32%の定率補助を維持し、150 万円以上の組合については所得水準に応じて引き下げ、240 万円以上の組合については13%とする。
○ また、所得水準の低い国保組合の国庫補助には影響が生じないようにするため、調整補助金の総額を医療給付費等の15.4%まで段階的に増額する。
C 後期高齢者の保険料軽減特例(予算措置)の見直し
○ 後期高齢者の保険料軽減特例(予算措置)については、特例として実施してから7 年が経過する中で、後期高齢者医療制度に加入する前に被用者保険の被扶養者であった者は所得水準にかかわらず軽減特例の対象となるほか、国保での軽減割合は最大7 割となっていることなど不公平をもたらしており、見直しが求められている。
○ このため、後期高齢者の保険料軽減特例(予算措置)については、段階的に縮小する。その実施に当たっては、低所得者に対する介護保険料軽減の拡充や年金生活者支援給付金の支給とあわせて実施することにより低所得者に配慮しつつ、平成29 年度から原則的に本則に戻すとともに、急激な負担増となる者については、きめ細かな激変緩和措置を講ずることとする。激変緩和措置の具体的な内容については、今後検討し結論を得る。
D 標準報酬月額の上限額の見直し等
○ 健康保険の保険料について、平成28 年度から、標準報酬月額に3 等級追加し、上限額を121 万円から139 万円に引き上げる。併せて標準賞与額についても、年間上限額を540 万円から573 万円に引き上げる。
○ 健康保険の一般保険料率の上限について、平成28 年度から13%に引き上げる。また、船員保険の保険料率の上限も、同様に13%に引き上げる。
○ 国保の保険料(税)の賦課限度額について、段階的に引き上げることとし、平成27 年度は4 万円引き上げる。
7.患者申出療養(仮称)の創設
○ 困難な病気と闘う患者の国内未承認薬等を迅速に保険外併用療養として使用したいという思いに応えるため、患者からの申出を起点とする新たな保険外併用療養の仕組みとして患者申出療養(仮称)を創設し、平成28 年度から実施する。
8.今後さらに検討を進めるべき事項
○ 今後、引き続き、医療保険制度の安定化と持続可能性の確保等に向けた施策のあり方(国保の安定的な運営の確保、医療費適正化、保険給付の範囲、患者負担について年齢に関わりなく更に負担能力に応じた負担とすることなど)について検討を進める。__
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★知事会が求めていた国保投入はどうなったのか
国保への財源投入はもともと消費税引き上げ時にと約束していた1700億円と、被用者保険への総報酬制導入により浮く国庫負担分2400億円のうち1700億円、合計3400億円を毎年入れることとしました。
そして、2400億円から国保にいれる1700億円を引いた700億円を被用者保険の方に入れることとしたため、抵抗していた被用者保険側は了承した模様。
さらに、この3400億円で知事会も保険者となることを認めたようです。知事会は「きょうかい健保並みの国保料にするためには1兆円必要だ」と要求していたのですが、結局はこの程度の投入で認めたようですから、腰砕けとしか言いようがありません。
★都道府県と市町村の役割分担は?
都道府県と市町村の役割分担ですが、国保業務はこれまで通り市町村がやります。そして、市町村が独自に行う一般会計法定外繰入も条例減免も、権限はこれまで通りです。特に、一般会計からの繰り入れについては、「国保法で禁止できない」「国も都道府県も自治体の会計について口をだすことはできない」と明言しました。
★大きく変わるのは、保険料の集めかた
では、都道府県が保険者になっても何もかわらないのでしょうか。
まったく違うのは保険料の集め方です。都道府県は市町村に対して過去の医療費実績や所得を勘案して「この一年間にこれだけ集めなさい」という保険料総額を決めます。これを分賦金といます。これまでと全く違うのは、この分賦金は都道府県に対して100%納付しなければならないということです。
たとえば、2012年度の全国の収納率は約90%、大阪府は87%です。つまり、集めるべき保険料より日本全体で10%、大阪では13%足りないということになります。
2012年度の全国の保険料(税)収入は3.06兆円なので、足りない10%とは3400億円。同様に大阪府全体保険料収入は約2100億円なので、13%とは314億円です。この不足分を市町村は集めきらなければならないということになります。
★分賦金100%納付をしようとすると市町村はどう動くのか
では、市町村はどう動くでしょうか。以下のパターンが考えられます。
@ 一般会計法定外繰り入れで埋める。
A 残していた基金で穴埋めをする。
B 新しくできる財政安定化基金から借りる
C 分賦金より多い目、つまり13%上乗せ、もしくはもっと多いめの賦課総額にして保険料を計算する
@
については、現在実施している自治体であれば引き続き実施する可能性があります。
A
については、全国の基金残高は2800億ですが2年分にもなりません。さらに、大阪で基金を持っているのは、羽曳野市・貝塚市・千早赤阪村・能勢町ぐらいですので、他の自治体では不可能な話です。
B
については、昨日の交渉の中でもどのような基金にするのか、貸与なのか給付か、原資を100%国の負担なのか、介護保険や後期高齢者医療制度のように、国・都道府県・市町村とするのかについても全く白紙、「これから検討」と答えました。
C
最もあり得るのが、多い目の賦課総額にして保険料を計算するやり方ではないでしょうか。これでいくと、当然保険料はいまより高くなります。
★都道府県単位化で国保料(税)は必ず高くなる
では、都道府県単位化になって国保料(税)が高くなるのか、安くなるのか。被保険者にとって一番大事な部分はここですので、担当者にぶつけてみました。
「都道府県単位にしてトータルで保険料は安くなります?」と質問したらゴニョゴニョ。「安くなるとは言えないってことですよね?」とさらに聞くと「まあ、そうですねえ。」と。
★国保は重要な局面に!!
昨日の厚生労働省交渉で、国保は重大な局面にきていることを実感しました。まだ今後の運動をどうするのか議論できていませんが、大阪は全国1広域化・都道府県単位化に積極的な自治体です。
来年度からの国保財政共同安定化事業1円化でも、現行の「所得割25:被保険者割50:医療費実績割25」で行く案が昨年12月25日の大阪府広域化支援方針策定に関する研究会で出されました。この内容はすでに大阪府ホームページの以下のサイトにアップされていますのでぜひ見てください。 http://www.pref.osaka.lg.jp/kokuho/kaikaku/h26kouikika_kenkyu2.html
大阪社保協としては、大阪府とも懇談し、今後の動きを至急検討し、みなさんにお伝えしたいと思います。
1月19日、阪南ブロック会議に6地域、15人が参加。今後定例化へ!!
1月19日、定例化を目指して阪南ブロック会議を開催しました。
これは、昨年11月の幹事会で、大阪市内ブロック、河南ブロック、北河内ブロックの各社保協から、ブロックごとでの交流によって運動が相互に活性化している様子などを見聞きした和泉社保協・勝部事務局長から、「ぜひ、阪南ブロックを開催してほしい、活動交流したい」との強い要望が出され、その場で岸和田社保協・石田事務局長、くまとり社保協・大浦事務局長と相談、場所も集まりやすい貝塚でと決めたものです。
当日のブロック会議には、岸和田社保協、和泉社保協、泉南社保協、くまとり社保協、そして再開を目指している貝塚と泉佐野からもご参加いただきました。
話題の中心は、各市町村が現在策定している第6期介護保険事業計画で、まさに今パブリックコメント募集中であり、「パブコメ書き込み学習会」などができないか、などの声も。また、情報交換により、阪南地域のどの計画案にも保険料案が書きこまれていないことや、くまとり社保協からは町がパブコメも実施せず、代わりにモニター制度(町民モニターに計画案を送りつけ意見を求める)を行うことなどの報告がありました。また、保険料引き下げの議会請願だけでなく、「国庫負担増額を求める」意見書採択運動も行いたいとの声も上がりました。そして、今後も定例開催をしていくことも決定、今後のブロックでの取り組みも考えていこうということとなりました。
次回阪南ブロック会議は5月8日(金)午後6時半〜貝塚市福祉センター(予定)