大阪社保協 FAX通信   1072号 2014.4.14                                      

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49日「大阪市生活保護行政問題全国調査団」実行委員会結成会に60人が参加〜大阪市の生活保護行政の実態告発続々。52829日の調査(大阪市と区役所交渉)にぜひご参加を!!

49日夜、大阪弁護士会館において、「大阪市生活保護行政問題全国調査団」実行委員会が結成され、60人が参加しました。以下、概要を紹介します。

 

  井上英夫実行委員長(金沢大学名誉教授)より開会挨拶

これまでの北九州市や札幌市白石区などで調査を行ってきた。これらに共通するのは生活保護行政と生活保護の拡大と深化。北九州や札幌は人が亡くなる深刻な問題が発端となった。命があまりにも軽い。26年前は血相を変える感じだったが今はそうではない。孤立死や餓死や貧困は日本の構造の中で生みだされている。単に可哀相、何とかしなくちゃではなく、構造を変える必要がある。人権保障を築いていく、そこに今回の調査をつなげなければならない。大阪を出発点に日本を変える取り組みにして欲しい。

   いま大阪市の生活保護行政で何がおきているのか〜普門弁護士(事務局長)より報告

大阪市の資料は高齢者世帯以外を「稼働年齢世帯」と位置付けている。全国の政令指定都市では生活保護世帯は増加しているのに、大阪市は減少している。高齢世帯以外では、他では数世帯〜百世帯の減少だが大阪市では3000世帯も減少している。大阪市の生活保護の動向は、高齢者は増加しているが平成24年度からその増加を含めても全体的に減少している。大阪市は就労支援と不正受給の適正化の成果と主張。本当にそうか。不正受給の適正化では94世帯しか減少していない。

さらに、生活保護費も24億円減少しており、主に医療扶助と生活扶助。全区において減少しているわけではないが、特に減少に寄与している区は都島区、浪速区、西成区など。

大阪市は全区に警察官OBを配置して不正受給調査選任チームをつくっており、H25年度で938件対応。西成、浪速区が突出している。

まとめると、現に生活保護を利用している世帯への締めつけ、稼働年齢層に対する就労支援強化、医療費抑制のためのあらゆる対応、これから申請する人を閉め出している。独自書式をつくり、申請と取り扱わない、申請者に対して助言に名を借りた違法な指導指示、不正受給対策と称した圧力など。

   申請時の就労ガイドライン問題〜小久保弁護士より報告

大阪市はH23.1.17に「保護申請時における就労にかかる助言指導のガイドライン」を策定。週1回の就労活動報告書の提出など積極的な求職活動を求めており、そのために決定までの期間を30日まで延長させる、など。稼働能力の活用については、厚労省は稼働能力の有無、意思、活用(就労)できる場があるかどうかについて判断するとしている。年齢や医療歴だけではなく資格や生活歴なども考慮すべきとしている。さらに最近の判決でも様々に言及されている。しかし、このガイドラインは稼働能力活用要件を形式化するもので形式的理由で却下の可能性があり、申請から14日以内に決定すべきという法定期限が死文化される、事実上の指導指示で法令違反の可能性。厚労省も不適切と指摘している。最近、この被害が散見されるようになった。 

被害事例・・・・41歳代男性

家賃や光熱費も滞納し、食べるものにも事欠く状態の困窮者が申請したら、求職活動を助言(事実上の指導)され、決定までさんざん延長された上に却下された。浪速区では「相談票」という書式を用いてるが、説明を聞きたいというチェック欄はあっても申請意思を確認する欄はなかった。助言指導書の内容は「熱心に求職活動を行い、継続的且つ自立を目指した仕事に就くこと」。弁護士の支援後、再申請して開始決定。その後病院に行ったら治療に専念が必要なほどの健康状態だったのに、申請時には健康状態は取り合われなかった。就職活動費もないまま開始決定まで約2ヶ月を要した。

   介護扶助自弁強要問題〜楠弁護士より報告

介護保険を利用して介護保険を利用する場合の一割負担は生活保護から支給される。しかし、大阪市は法令上の根拠なく、福祉用具購入や住宅改修費の1割部分を生活保護利用者に負担させていた。 

大阪市によるこの自弁の根拠は「医療や介護は自己負担がないので過剰受診が増えるという市民の声に配慮」とのことのみ。介護保険の負担部分を自弁させることは、最低生活以下の生活を強要することになる。3月に国会でも取り上げられ、田村厚労相も「法令違反」と明言した。

生野区居宅介護支援事業者より報告

昨年9月、生野区介護事業者連絡会で、福祉用具の購入や住宅改修で1割負担を利用者に求められるということが問題になった。数日後、実際に福祉用具の購入をした利用者について福祉用具事業者が福祉事務所CWから利用者の通帳を確認するように求められ困っていると相談してきた。925日の大阪社保協生野区キャラバンで確認すると課長代理が「市民感情が」「市民感情が」と繰り返し、自弁するのが当たり前であるかのような言い方をした。さらに今年3月、大阪市調査で133件の自弁があったことが判明した。利用者は「もう思い出したくない」と言う。生活保護利用者にとっては数千円でも大金。ぜひ全国調査で取り上げて欲しい。

西成区居宅介護支援事業者より報告

ご本人はサポーティブハウスに在住の70代男性。右半身麻痺と失語症、要介護3。室内移動のための手すりを取り付ける住宅改修を検討した。CWは手すりの設置を渋る。一部OKとなったが、本人にお金があれば一部負担分を支出せよとのこと。実際に、本人の手持ち金は6万数1千円で一部負担部分の支出できる金額だったため、住宅の改修は認められることになった。実際に自弁された。

   扶養義務強要問題〜小久保弁護士より報告

改正生活保護法の柱の一つに扶養義務の強化がある。申請者の扶養義務者に対する通知規定、報告を求める規定、調査拡大が盛り込まれた。施行は今年7月からだが、扶養義務者に対する圧力が強まることが懸念されている。大阪市は独自に仕送り基準を設定した。生活保持義務(強い義務)は家庭裁判所の養育費基準を用いているが、生活扶助義務(弱い義務)は大阪市が独自に算定。しかし、生活扶助義務は扶養義務者との関係によっては、具体的な義務は0円になる可能性もある。7月になったら形式的に当てはめて仕送りが強要されることになるのではないか。

被害事例・・扶養照会がいきなり送りつけられた方

帰宅したら、いきなり大阪市某区から扶養照会の書面が届いていた。最初は誰かわからなかったが、名前を見れば数十年前に親が離婚して何も行き来のない父親の名前。この文書は私の娘のところにもきていた。さらには姉妹やその子(大学卒業予定の子)、当人に会ったことのない孫にまで扶養照会。この父親のことは当時の暴力のこともあって思い出したくもない。どうしているかと気になることはあるが、その気持ちにつけこむもの。他にもこういう通知を受け取った知人がいてすぐに送り返したとのこと。ネットで調べたら、送り返さないと財産調査をされるというので怖くなって送った、とのことだった。

小久保弁護士)現行制度でも、虐待やDVがあった場合には扶養照会しないということになっているので、現行制度にも反している。対応としては「扶養できない」に○をして返送したらいいのではないかと思われる。

   不正受給キャンペーン、警察官OB配置問題〜喜田弁護士より報告

過度に不正受給を強調することにより生活保護利用者に対する圧力になっている。不正受給とされているものも申告に関する錯誤が多い。事務処理ミスを78条返還として扱っている可能性もある。不正受給とされる78条返還決定の内容が実際にはどうなっているかを確認しなければならない。大阪市は不正受給適正化のマニュアル(調査から告訴まで)を定めている。情報公開請求したが、殆ど黒塗りになっていて、何をどう調査するのか不明。昨年は淀川生健会、大生連や全生連に対して、過去の会員の不正受給を理由に捜索・差押えをした。差押えした物品は生健会の活動に関するもので、萎縮効果を狙っている。淀川区では「適正な保護費の受給に協力して下さい」とチラシを利用者に配布。これも利用者に対する萎縮効果をねらっている。

つづいて、警察官OB配置問題。大阪市は全区で警察官OBを加えた不正受給調査選任チームを配置している。この警察官OBは必要な社会福祉主事の資格をもっているかどうかも不明。通常の現業員でも無資格者が多い実態があるが、きちんと調査する必要がある。実際に暴言などもある。新人CWが警察官OBと行動を共にすることが多く、そこでいろいろ学んでしまい、ケースワークが警察の捜査になりつつあるとの指摘もある。

当事者・・大生連大口会長

昨年、事務所に家宅捜索を受けた。生活保護の支援者への家宅捜索が増えるのではないかと懸念している。淀川区のチラシは、実際にこれを目にした利用者が「恐ろしい」と怯えている。淀川区では独自に密告窓口も設けている。区に対して要望書を提出した。

人権侵害の背景には、大阪市の職員基本条例や公募区長があるのではないか。職員基本条例により、現場は上司の顔色をうかがわなければならなくなっているのでは。市役所が区に対して指導力を発揮しない場面も。「適正化」は現市長になってから強化されている。

   福祉事務所の実施体制について〜松崎・神戸女子大学教授より報告

大阪市に対する厚労省の監査報告を分析した。大阪市は国から改善指示されても改善していない。監査で見えてこない泣き寝入りケースも多いと思われる。今回の法改正は大阪市が先鞭。大阪市のようなことが全国に広がっていく。

大阪市は、人員不足が全国で突出している。毎年国から指摘されている。必要な資格をもっている人も半分くらいで専門性がない。経験年数も3年未満が半数。非正規雇用も多い。現場の職員が生活保護のことを知らないのに、適正化だけを推し進めている。厚労省から毎年のように「基本的なことができていない」と指摘されているのに、改善されていない。この調査団は大阪市の体制を改善させるものにしたい。

   さらに、大正区生健会からの報告

別居している息子の車を時々借りることがあった利用者、娘が産気づいてその車で病院に連れて行ったが、そのことで福祉事務所から聴聞、保護廃止。再申請したが「車を使わない」との誓約書を書かされる。福祉事務所曰く「うちには警察官OBがいて駐車場を見張っている」とのこと。

他の利用者の件。高校生の娘が2年前にアルバイトしていなかったのが、税情報で発覚。福祉事務所から警告され、それ以降は申告していた。しかし、1年前のアルバイトのことがわかり「2回目だ」ということで打ち切られた。母親は働いていて、娘がアルバイトしているかどうかわからなかった。

また他の利用者の件。借金をしていてその返済のために働いていて未申告。破産することになったので、福祉事務所への返還債務も破産手続。CWは「ダメとはいえない」「しかし親戚中に請求する」といわれた。他には、歯医者に通いたいといったら「口を開けてみろ」と言われた。など。

 

    各副実行委員長から決意表明

◆生田武志・野宿者ネットワーク代表

稼働年齢層に対してひどい就労指導。夜眠れなくなったり、精神的に参ってしまう。自分が悪いのかCWが悪いのか混乱してしまう。本人を追い詰めてその人の生活を破壊している。自立を支援すねのではなく生活破壊をしている実態が、最近、顕著である。生活保護が何か問い直したい。

◆木下秀雄(大阪市立大学法学部教授)

北九州や札幌だけでなく大阪でも貧困ゆえに亡くなっている方がいるのに社会問題化せず、生活保護が多いといわれる。生活保護の改善は我々の生活水準を上げるもの。

◆尾藤廣喜・生活保護問題対策全国会議代表委員

大阪の状況は大阪だけの問題ではない。全国に広がる。なんでもありの違法行為が普通に行われており、きちんと対応することが、全国の生活保護状況をよくする意味で非常に大事なことだ。稼働年齢層に対する過酷な就労指導は札幌の餓死事件でも同じ。大阪の問題を明らかにして徹底的にやりたい。

井上賢二・大阪社会保障推進協議会会長

私は医師。食べられない患者さんたちが確実に増えており、食べないで薬を飲んでるなんて本当に間違っている。貧困がこんなに広がっているのに大阪市の生活保護行政は明らかに間違っている。私たちも頑張って全国調査に取り組みたい。

◆大口耕吉郎(全大阪生活と健康を守る会連合会)

   全力で頑張りたい。

    参加者からの発言

   徳丸さん・大阪子どもの貧困アクショングループ

子どもの貧困は大人の貧困。シングルマザーへの聞き取り調査を行っているが、一日16時間働く人もいる。厳しい就労支援を受けたり、入院が必要な健康状態なのに「入院してからきて下さい」といわれた人も。生活保護しかないのなら制度を改善することを求めたい。

   介護事業者の方

10年間この仕事をやっているが今が一番ひどい。支給すべきものを全く出さない。ドヤにいた高齢者が施設入所しようとしても、一時入居金の問題があるのに、「本人がお金もっていたら入居してもいい」といわれる。入居一時金が0円の施設にCWが誘導することも。転居費用を全く出さない。ゼロゼロ物件に行くように指示したり、自分たちがやむなく転居を手伝う。民間に支援を押しつけている。良いCWの人がいたのに、役所内部でいろいろ言われてあたりがきつくなってきたことも。

   労組の方

一年前まで某区のCWをしていた。これまで蓄積していた問題点が吹き出した。特に体制の問題、大阪市は劇的にひどい。人事政策の失態と利用者・CWの急増。生活保護行政を知らない職員が殆ど。非正規の人も多く、低賃金で優秀な人でも手取り13万ほど、当然自分の目線で保護者を見てしまう。ブラック企業で叩かれて病んで生活保護に至ったと言うことを職員が理解していない。経理も厳しく、CWが書類を回しても突き返される。次に「出してくれ」といえない。やむなくポケットマネーで補填するCWも。職場が歪。そういう実態も斟酌して欲しい。

                                       以上    

大阪市生活保護行政問題全国調査団

大阪市と区役所交渉にあなたもご参加ください

 

【調査団の目的】

大阪市の生活保護行政において、保護予算の増大を問題視し、貧困の拡大という原因に目を向けることなく、生活保護を利用できる人や利用している人たちに対する様々な違法対応が確認されており、「改正」生活保護法の施行を前にして到底看過できない事態にあります(政令市の中で生活保護利用世帯を減少させているのは、大阪市だけです)。

私たちは、こうした違法対応について分析し、あるべき生活保護行政を実現するための調査活動を行い、さらに、大阪市の違法運用が他地域に波及することを抑止する意味で「大阪市生活保護行政問題全国調査団」実行委員会を結成しました。

調査団は大阪市役所及び区役所との交渉までに様々な聞き取りや調査、事例集約活動などを実施し、それらの具体的な事例に基づく大阪市およびいくつかの区役所との交渉・懇談、そして市民集会を企画しています。

大阪市は人口260万人という全国第二の政令都市であり問題を解決するためには大きな力が必要です。交渉への参加が多ければ多いほど、大阪市に対して大きな働きかけができます。あなたの参加をお待ちしています。

 

【調査・交渉スケジュール予定 大阪市の都合でスケジュールが前後する可能性あり】

○第1日目 528() ★できるだけ午前中の学習会からご参加ください。

午前  学習会(大阪市の生活保護行政の概要、問題点の学習と調査についての意思統一)

       会場:大阪府保険医協会M&Dホール

       時間:10時〜(930分受付)

       お弁当を用意しますので、弁当代(500円)のご負担をお願いします。

 

午後  昼食後、6つの区役所に分かれて移動し、区役所との交渉・懇談

 

夜間  「大阪市の生活保護行政を考える市民集会〜区役所交渉でなにがわかったのか(仮称)会場:エルおおさか南館ホール

       時間:1830分〜

○第2日目 529() 

午前 大阪市本庁交渉・午後 記者会見を予定(時間帯・場所は決定次第お知らせします)

 

【交渉対象区役所】

24区のうち特に生活保護行政が厳しく、具体的な事例が報告された行政区・実施機関数か所に交渉を行うことにしています。同時に本庁に対しても実施します。

【調査及び交渉内容】

@保護申請時にかかる就労指導ガイドライン問題

 働く能力があるとみなした申請者に対して積極的な求職活動を「助言指導」し、努力が不十分と判断した場合には申請を却下するガイドラインを形式的に適用し、稼働年齢層を保護から排除。

A扶養義務強要問題

  年収に応じた仕送り額の「めやす」に基づいて仕送りを求めたり、全く音信不通であった親族に一方的に扶養できるかどうかを質す文書を送付するなど。

B介護扶助自弁強要問題

  介護保険を使って福祉用具購入や住宅改修する際、介護扶助として給付されるべき1割負担分を受給者に自弁(自己負担)させたり、自弁できるか確認。昨年3月〜11月で133件が発覚(大阪市調査)

C不正受給キャンペーンと警察官OB配置問題

  実際には不正受給に該当しないものを不正受給扱いにしたり、区役所などでことさらに不正受給のことを強調することで生活保護利用者や申請者を萎縮させている。

Dケースワーカーの実施体制問題

  人員不足、専門性の欠如、不安定・低待遇の非正規公務員の増加など。

 

【参加費用は無料ですが、28日参加の場合はお弁当代500円だけご負担ください】

【会場地図】

申込書地図(140408_2)

 

【調査団実行委員会】

生活保護問題対策全国会議・全国生活保護裁判連絡会・反貧困ネットワーク大阪・近畿生活保護支援法律家ネットワーク・野宿者ネットワーク・生活保護基準引下げ反対大阪連絡会・大阪社会保障推進協議会・全大阪生活と健康を守る会連合会・中央社会保障推進協議会・大阪自治体労働組合総連合・東大阪社保協・全国生活と健康を守る会・大阪府歯科保険医協会・大阪民主医療機関連合会・平野生活と健康を守る会・全日本年金者組合大阪府本部・関西合同労働組合・大阪府保険医協会・生野区社保協(2014411日現在)

 

【調査団事務局・お問い合わせ先】

 普門法律事務所 大阪市北区天神橋3丁目33号南森町イシカワビル7

         電話06-6354-1616 FAX06-6354-1617

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大阪市生活保護行政問題全国調査団・参加申込書

ふりがな

氏名                          職種         

所属・団体名  

連絡先電話番号            fax番号

参加に○をつけてください。

      528日午前スタート学習会 ・28日午後区役所交渉 ・28日夜「市民集会」

      529日大阪市交渉

 

※この申込書は大阪社保協fax06-6357-0846宛お送りください。