大阪社保協FAX通信   1029号 2013.2.13                                       

 

23日「ヘルパーとケアマネのつどいin大阪〜老いても地域で楽しく暮らせるように」に90人が参加、「もっと学びたい」(交流したい)と次回の企画を待ち望む声多数!

 201323日(日)「ヘルパーとケアマネのつどいIN大阪」を堺市総合福祉会館で開催し、69事業所から90人の参加がありました。ヘルパーとケアマネのみならず、多職種の参加があり、半日という短い時間の中で、学習と交流がされ、「もっと勉強したい・交流したい」という感想も聞かれ、大変有意義な時間となりました。つどいの概要について報告します。

 

1分科会「あらゆる制度と社会資源を使って丸ごと支援しよう!」

レポーター:勝部麗子さん(豊中市社会福祉協議会事務局次長・厚生労働省「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」委員)

参加者は23人。

冒頭、勝部氏よりDVDの上映「豊中市のCSW(コミュニティソーシャルワーカー)の活動について」がありました。

勝部氏は「地域の『困った人』は『いま困っている人』であり、ごみ屋敷問題など、生活困窮の問題だけでなく孤独の問題として、その対応をしていく必要がある。町会のみまもりが「見張り」になることもある。そうならないようにしていくために、有償の話し相手で対応するとか様々なやり方でアプローチをしていく。100数件以上のごみ屋敷を片付けをしたが、どこも再発していない。問題への対応ではなく、孤独への対応が大切」と強調されました。

さらに、橋下大阪府知事がCSWの予算の削減計画があった折には橋下知事本人が豊中市までヒヤリングに来たのですが、実際をみてもらった中で予算継続となったという勝部氏の話で分科会の参加者は大いに盛り上がりました。

入浴拒否の利用者に対しては、風呂を入れるという目的だけでなく、付き合い方が大切で、この方への関わりの中で「銭湯入浴」という取り組みがうまれたことなど、さまざまな取り組みについてもご報告がありました。

勝部氏が東北支援に行くとのことで途中退席され、全体討論ができず残念でした。参加者からも「もう少し聞きたかった」との感想が多数でした。いずれにしても介護保険でできることは限られており、地域の様々な人と組織をつなぎながらその人が地域でくらせるように支援していく、そのかなめを社協職員がcswとして担っていることがよく理解できました。今後も「地域包括ケアを考える」などのテーマなどでまた勝部氏に講演していただきたいと思います。

 

第2分科会 ホームヘルプここまでできる〜介護保険制度の訪問介護の活用について考える〜 助言者:日下部雅喜さん(大阪社保協介護保険対策委員)

参加者は29人。

前半の学習では、“訪問介護を中心としたサービス制限とたたかうために”と題して、ホームヘルプの仕事の範囲は「尊厳の保持」、「自立生活支援」という介護保険制度の目的に照らして考える必要があること、「自立支援」とはADLだけでなく人格的自立、「その人らしい暮らし」の実現を支援することでもあることが強調されました。

講師から「窓ガラスが結露でベタベタだがヘルパーが窓拭きをしてよいか」「同居家族がいる利用者の買い物にヘルパーが外出介助してよいか」「統合失調症の息子と二人暮らしの利用者の浴室、トイレは掃除してよいか」など、具体的な事例を問いかけ、参加者は可否を挙手で答えましたが、意見がまったくわかれました。

これらについて、介護保険法令や厚労省通知、大阪府のQ&Aなどを活用し、「必要なサービス」をホームヘルプで提供するためのアセスメントの重要性が強調されました。同時に各自治体による根拠のないサービス制限(ローカルルール)の実態も紹介され、現場のケアマネジャーやヘルパーが、利用者の自利生活支援に必要なサービス提供が可能となるよう頑張ることが期待されていると述べられました。

休憩時間に、全員が「質問・疑問」「聞きたいこと」「ひとこと意見」を書いて提出し、後半は講師がそれに一つひとつ答える形式ですすめました。「散歩の範囲」「通院介助での院内介助」「共用部分の掃除」など17の質問が出されました。

寄せられた感想では、「今までの考えが間違っていたと目からうろこ・・」という人。勉強になったという意見多数ありました。

 

3分科会 どう利用者とどう向きあったらいいの? 

レポーター:山本さつきさん(堺市西第一地域包括支援センター)

助言者: 内海聡子さん(大阪社保協・よりよい介護をめざすケアマネ・ヘルパーの会事務局長)

参加者は7名。

地域包括支援センターの実践例2ケースを報告しました。テーマは地域包括支援センターの配置の背景にある課題(マンパワー、直営or委託等により地域包括支援センターの運営課題も様々。個別ケース支援の積み重ねや地域の実情を地域の福祉課題として、行政の施策に反映できるよう取り組みたい)についてです。

参加者からは困っていること、悩んでいること等日々の業務の意見が出され交流しました。あるケアマネから「地域包括との連携がうまくいかない」、また認定調査員からは「岸和田の地域包括支援センターの数が足りない。増やす要望をしている」、障害ヘルパーから「介護保険事業所と連携が必要なケースが増えているが情報共有がうまくいかない。ケアマネからプランの内容や支援状況についての報告が来ないことが多い。サービス提供責任者として現場のヘルパーに対する利用者理解や自立支援についての指導に悩んでいる。自身も援助観に迷いがありしんどい思いをしている(できる能力があるのにヘルパーに依存したり、生活保護を受給者している利用者のお金の使い方)」、グループホーム職員から「

地域包括支援センターとの連携の有り様を学びたくて参加した」など。

あいりん地区にある地域包括支援センター職員からは「包括としてH234月より受託。生保世帯が7割を占め、仕事を求めてこの地区に来た男性の独居世帯が多く、地縁も身寄りもないことがほとんど。ゴミ屋敷化したケース、孤独死も多い。月に300件を超える相談あり、インフォーマル資源との連携が欠かせないと家主や不動産会社、商店街とつながり、見守り協力を勧めている(ケースが深刻化する前の発見機能)。包括の仕事は大変だが、今は困難なケースの支援を通じて、まちづくりにも貢献できる仕事と思い、やりがいを感じている。」などの発言がありました。

助言者より実践報告と地域包括の存在意義に対する提案があり、「地域包括支援センターは創設されてまだ新しい事業。いかに機能するかは批難するのではなく、共に育ち合い高めあう関係作りが大事。そのためにも事業所だけで解決せず地域包括の活躍できる場を作る。それらを通じてケースを普遍化し共通の課題や地域の課題に引き上げることが大切」とまとめがありました。

 

4分科会 生活援助は必要だ〜支援の専門性とは〜

レポーター:佐伯重行さん(利用者・年金者組合大阪狭山支部)

青木正行さん(結 いの里ヘルパーステーション)

助言者:桜庭葉子さん(京都ヘルパー連絡会)

参加者12

青木さんからは今回報酬改定での訪問時間短縮については、基本的には利用者の話し合いの中で決めた。時間が短くなったりしたところからは「忙しそうやね」「ばたばたしているね」との声をいただく。やはりコミュニケーションが最も削られた。生活援助はよく家事援助という言葉に置き換えられるが、生活援助としての掃除にも調理にもすべて意味があり、利用者のその方の生き方を反映したものであることなどが語られた。  

利用者である佐伯さんはまず自分史を語られ、これまでの手術の経過を丁寧に説明しながら要介護認定をうけるなかで、手術をうけ状態が悪化しているのに何故要介護がかるくなるのか、調査の仕方などにも疑問を持ち、強い不信を持っておられること。そして、今回の訪問介護時間短縮の動きのなかで、これまで通りの時間で訪問介護を利用しており、それも、自らのためというより、時間が短くなったらヘルパーさんが大変だし、焦って事故でも起こしたら困る、と心配してのことだと発言。ヘルパーは利用者の生活を支えているが実は利用者もヘルパーを支えているのだということをはじめて知りました。さらに佐伯さんは『ヘルパーさんとの会話が最も楽しみだ』と語られました。

人数が少数であったので、自己紹介を兼ねて生活援助の短縮についての問題意識などを語っていただいたが、その中でも堺市のある小規模訪問介護事業所の方からの発言は胸を突きました。その事業所では殆どのケースで時間短縮がされていません。それは、「時間短縮ができるようなケースがないから」であり、「ケアマネが長年アセスメントして作ってきたプランを報酬がかわったからと言って変えられるものではないから」だと。また、ヘルパーの報酬も基本的には下げていません。それは実際には殆どが生活援助だし、やっている内容が殆ど同じなのに報酬を変えるととてもモチベーションが保てないというヘルパーの意見を組んでとのことだといいます。

佐伯さんは両肩関節機能全廃で歩行も杖が必要で、かつて元気であつたころには30分で移動できたところでも現在3倍は時間がかかる。しかし、なんでもできるだけ自分で行う。そして、配食サービスなどはつかわず、できるだけ自分で考えて料理をする。「要介護度が下がることは死ねと言われるのと同じ、でも私は自宅で孤独死はしない、死ぬなら役所の前で死ぬ覚悟だ」とも。そして佐伯さんの人生の目標は、年金者組合が行う取り組みにこれまでどおり参加すること。おかしいことはおかしいと怒り、意見し、心配もする。そしてヘルパーに一方通行でやってもらうのではなく、相互に人間として付き合う。佐伯さんの発言を通じて自分の人生を自分なりの生き方で貫くこと、すなわち「尊厳ある自立した生活」とは何かを教えていただいた分科会でした。

 

第五分科会 

「精神障がい」のある人たちの暮らしについて〜まず「精神障がい」の理解からはじめよう〜

助言者:喜多彩さん(精神保健福祉士・日本ASW協会関西支部トータルネットワーク研究会メンバー)

事例提供者:益田さん(あい介護センター)

参加者は20名。

まず、益田さんから「精神障がい福祉手帳を取得されている独居の方へのサービス」についての報告がありました。

さらに参加者からの問題意識や疑問を出し合い、助言者の喜多さんがアドバイスをするという形で分科会をすすめました。

参加者からの質問は、「病名が独り歩きする(ラベリング)」「相談支援事業所」「65歳となり自立支援法から介護保険へ移行してきたケース」「介護保険で利用しているが若い男性だと暴力などヘルパーが不安になるケース」「障害サービスではケアマネがいないのでサ責がすべて抱え込んでいるケース」「施設での困りごと、暴力行為など」等々でした。
 最後に喜多さんからは、病名についてはすべて診断を受ける必要はないし、個別性を大事にして服薬コントロールが大切であること。介護現場で大切なことは「診断」ではなく「日々の細やかな観察」で、焦らず、長い目で見守り支えること。精神科疾患に「完治」はなく疾病との上手な「お付き合い」の方法を一緒に考えようとのアドバイスがありました。

さらに、援助者としては、「目の前の問題に振り回されないこと」「アセスメントがとても重要であること」「本人とその家族の話を聞く→傾聴・確認・共感が大事」「適切な距離を保ち巻き込まれない(自己覚知と燃え尽き防止のためにも)」「必ずチームで関わる」「逃げ場も必要(入院など)」なにどのアドバイスがあり、最後に「PSWやASW(アルコール関連問題ソーシャルワーカー)の活用をぜひ!一緒に「揺れ」ましょう!」と締めくくられました。

 

明日、2月14日には「国保なんでも110番」を実施します!!

 

明日14日、「国保なんでも110番」を大阪市国保をよくする実行委員会と大阪社保協の共催で実施します。

 来年度の国保料改定にむけて、各地で国保運営協議会や3月議会での審議がされますが、大阪市をはじめ多くの自治体で「値上げ」の動きとなりそうです。

 しかし、「国保料のために働き、国保料のために財産を奪われる」ともいえるような実態が広がっています。

 一方、大阪社保協では、2011年から滞納保険料については「滞納処分の停止」を自治体に積極的にさせる取り組みを進めてきました。先日の生活保護無料電話相談でも、生活保護利用者から滞納保険料を納めさせている自治体がありました。こうした対応についても正していくことが必要です。 
 ぜひ、お電話ください。国保の専門家がおこたえいたします。

 

国保なんでも110番

(無料相談ですのでお気軽にご相談ください)

06-6768-3070

(特設電話ですので当日しか通じません)

214日(木)10時〜17

主催 大阪市の国保をよくする実行委員会/大阪社会保障推進協議会